<日本代表2-1J選抜>◇29日◇大阪・長居

 東日本大震災の復興支援を目的に、サッカーの日本代表とJリーグ選抜が対戦する慈善試合「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ

 がんばろうニッポン!」が行われた。

 ザックジャパンが東日本大震災の被災者へ白星を送った。日本代表がJリーグ選抜に完勝。MF遠藤保仁(31=G大阪)が前半15分に先制の直接FKを鮮やかに決めると、同19分にFW岡崎慎司(24=シュツットガルト)が追加点を奪った。先制点の直後には日本代表全員がベンチ前に集い、喪章を掲げて震災で亡くなった方への哀悼の意を示した。震災直後に開催されたチャリティーマッチで、世界中に復興支援への強いメッセージを発信した。

 被災地復興へのザックジャパンの思いを込めた一撃だった。前半15分、ゴール前約20メートルの直接FK。MF遠藤が放った一撃は鮮やかな放物線を描きゴールに吸い込まれた。「試合を通じて被災地の方々に少しでも勇気、元気を感じてもらえればと思っていた。自分が点に絡めてよかった」。背番号7は振り返った。

 思いはゴール直後の行動に表れていた。ベンチ前に全メンバーとスタッフが結集すると、右腕の喪章を天に掲げた。大震災で犠牲となった人々への哀悼の意を込めたパフォーマンス。遠藤が「試合前に何かやれることをやろうと話していた。11人だけで戦っているわけではないし、みんなでやった方がいいと思った」。一丸になる大切さを伝えた強いメッセージだった。

 ザッケローニ監督は試合直前に選手たちに呼びかけた。「我々は誇りに思わなければならない。このような試合でプレーできることを。被災者の方々に何か力になれることをしよう」。26日から2日間、練習前にはチーム全体で募金活動も行い、その活動は2日目には2時間半にも及んだ。ピッチ内外で被災地復興への思いを行動に移した。

 FW本田圭は「僕は全力でプレーすることしか頭になかった」と話し、全力プレーをメッセージとした。日本代表は昨年末から温めてきた3-4-3を試し、後半途中からアジア杯を制した4-2-3-1に布陣変更。今後を見すえた「強化」にも挑んだ。それも“全力”の表れだった。

 ザッケローニ監督は試合後「今日見せてくれた気持ち、思いやりは被災者の方々へ、復興のために必要になると思う」と話した。25日の来日時にイタリア代表との親善試合計画を明かし「少しでも可能性があるならやりたい」と話した指揮官。独自の復興支援にも動いている。思いは1つ。被災地の復興が少しでも早く進むと信じている。【菅家大輔】