<ロンドン五輪アジア最終予選:日本2-0マレーシア>◇21日◇ベアスタ

 U-22(22歳以下)日本代表が5大会連続の五輪出場へ白星スタートを切った。背番号10を背負うMF東慶悟(21=大宮)が、MF清武弘嗣(21=C大阪)のアシストから先制点を決めた。2人の前所属は大分(現J2)で、お互いのプレーを知り尽くした仲。1学年上の清武を兄貴分として慕う東がトップ下の定位置確保に向けて最高の結果を出した。

 尊敬する兄貴分が作ってくれたスペースを駆け上がり、右足アウトで冷静にゴール左へと蹴り込んだ。前半10分に早々と生まれた先制点。清武にパスを出した東は、清武がドリブルで相手守備陣4人を左サイドへと引き連れたことで生まれた右サイドのスペースを見逃さなかった。

 「ゴールは決めるだけでした。ホームなんで絶対に負けられない気持ちだった。勝つことが大事なんでうれしい。もっと決められたと思うが、次も勝ちたい」

 弟分へ兄貴から最高のプレゼントだった。清武も「東が裏をついてくれたんでよかった。出そうと思っていました」と明かす以心伝心のパスは守備網の間をズバリ。大分ユース、大分と計4年間ともにプレーした2人に言葉は不要だった。

 関塚ジャパンの背番号10を背負う東にとって、清武は身近な目標だった。「ユース時代から常に僕の上を行っている。いい刺激になる先輩なので常に意識できる。一番のいい先輩です」。この日、スタンドで声援を送った清武の1歳年下の弟功暉(こうき=福岡大)は、東の大分ユース時代の同級生。そんな縁も、この日の九州ホットラインの活躍を生み出した。

 清武とともに参加し、同部屋で過ごした8月のA代表候補合宿が、大きな刺激と向上心を生み出した。「代表として取り組む姿勢など、U-22の合宿で感じることのなかった厳しさも大きかった」。トップ下にはMF山田という強力なライバルがいるが「先発で出ることは自信になるし、そこだけは譲りたくない」と話す東。この日の得点はU-22での定位置確保に向けて最高のアピールだ。

 先制点をアシストし、2点目の起点にもなった清武も、主将MF山村とともにピッチでキャプテンシーを発揮し続けた。先制点後には歓喜の輪から真っ先にセンターサークルに戻ってボールの前に立ち、相手のキックオフを遅らせた。後半40分には左足がつるアクシデントもあったが、プレーが止まるたびに積極的にほかの選手に話しかけ、攻撃を活性化させた。

 清武自らは得点を奪うことができず「勝ててよかったが、自分も決めるチャンスはあったし、決めないとこれから厳しくなる」と、反省が口をついたが、東&清武コンビの活躍で勝ち点3をつかんだことは、関塚ジャパンにとって大きな収穫。九州出身の2人が見せた成長の証しが、この日のピッチに詰まっていた。【福岡吉央】