人工芝で最年少FW原口元気(20=浦和)が代表初ゴールを狙う。日本サッカー協会は1日、W杯ブラジル大会アジア3次予選C組第4戦のタジキスタン戦(11日・ドゥシャンベ)と第5戦の北朝鮮戦(15日・平壌)に臨む日本代表23人を発表した。原口は浦和ジュニアユース、ユース時代に人工芝グラウンドで練習しており、北朝鮮戦で使用する金日成競技場の人工芝について「ドリブルしやすい」と前向きにとらえた。

 アウェーの過酷な環境で、高速ドリブルにさらに磨きがかかる。原口は初選出された9月のブラジルW杯アジア3次予選初戦以降、連続しての選出。チーム最年少らしく「練習からアピールしていきたい。どんなピッチでも日本と違う環境でも、変わらずプレーできるかということ」とチャレンジ精神を見せた。

 今回の北朝鮮戦は人工芝グラウンドで行われるが、苦手意識は全くない。浦和ジュニアユースとユースが練習で使用しているさいたま市内の与野・八王子グラウンドは、人工芝。原口は09年1月にトップチームとプロ契約するまでの約5年間、そのグラウンドで練習を積んだ。プロになってからも、後輩に交じってトレーニングを行っている。

 芝の長さや種類によっても左右されるが、人工芝は天然芝に比べてスパイクにひっかかりにくい性質がある。ドリブルを武器にする原口にとっては、むしろ好都合だ。本人も「人工芝は久しぶりだが、ドリブルはしやすい」と明かした。素早いトラップやフェイントからの高速ドリブルが、アウェーを勝ち抜く鍵になるかもしれない。

 目指すのは、代表ゴールだ。10月7日親善試合のベトナム戦で念願の代表デビューを果たした。しかしゴールは奪えず、悔しさも残った。「デビューの次は、ゴールしたい。ゴールが次の目標」と宣言した。

 ザッケローニ監督も、若手にかける期待の大きさを口にした。U-22(22歳以下)のFW清武と原口を選出した理由について「2人のクオリティーがあって伸びしろがあるから。試合に出場するか否かにかかわらず、A代表に帯同して選手と練習することでさらに成長を促すと思った。さらに成長してくれることを祈っている」と話した。

 同監督の御前試合だった10月29日ナビスコ杯決勝では、原口は守備に割く時間が長く、ドリブルで仕掛ける見せ場は少なかった。「全然よくなかったから、選ばれないと思っていた。ラッキーだなと思う。監督に気に入られてるのかな」と笑顔。若手成長株が、人工芝の救世主になる。【保坂恭子】

 ◆人工芝グラウンド

 浦和のほかにもC大阪、磐田、山形、仙台、千葉などの下部組織の練習場として、人工芝のグラウンドを使用している。浦和には、人工芝のフルコートが2面ある。