ザックジャパンに「勝者のメンタリティー」を植え付ける-。日本代表のFW香川真司(24=マンチェスターU)が、勝負に固執した。今日14日の親善試合ウルグアイ戦(宮城)に向け、13日は試合会場で最終調整。日本は6月のコンフェデ杯で3戦全敗し、世界との差を痛感した。14年W杯ブラジル大会に向けた再出発となる一戦。世界の超一流に近づくために、FW柿谷ら新戦力と融合して、結果を追い求めていく。

 原点の地で、不名誉な過去と決別する。杜(もり)の都仙台。涼しい風が、香川の火照った体を包み込んだ。冒頭15分だけ公開された最終調整。攻撃の核となる本田とパス交換をしながら、芝生の感触を確かめていた。非公開で行われた実戦練習後には、居残りで恒例になっているシュート特訓で仕上げる。前日12日に帰国し、1日遅れでこの日から合流。短時間でもまずまずの状態に仕上げた。

 「日本はコンフェデで3連敗している。あそこで得た経験は今後、W杯につなげないといけない。これからは結果を日々、求めていく姿勢が必要。どうやって、いかに勝ちにこだわるか。それは1人、1人が抱かないといけない問題。勝者のメンタリティーを植え付けないといけない」

 挫折は、成長の糧にする-。そうでなければ、来年のW杯で目指す世界の頂点は、ただの妄想でしかない。ブラジルに惨敗し、香川が得点したイタリアには善戦しながらも白星は遠く離れていった。メキシコにも勝てず、絶望感でいっぱいだった6月。ここからはい上がるには、常に勝利を意識することが必要になる。それは10年途中に移籍したドルトムントでリーグ2連覇、昨季のマンUでもリーグ制覇。常に勝ち続けてきた香川だから分かる「勝者の精神力」でもあった。

 「スペースのない状況で、どう打開するか。流れの中でどう崩すかがテーマになる。自分にとって、ここ(仙台)は第2の故郷。試合ができるのはうれしいですし、ゴールを楽しみにしてくれている人もいる。それに、新しい選手も増えた。彼(柿谷)とは同期ですし、お互い競い合って、ここまで来ることができた。明日は一緒に、日本を代表して戦うことができる」

 中1で神戸の親元を離れ、宮城にサッカー留学した。会場には中、高と所属したFCみやぎバルセロナの後輩も大勢駆け付ける。さらに1学年下ながら06年にC大阪に同期入団し、同じ釜の飯を食べてきた柿谷との代表での初共演も実現する。新戦力と融合し、コンフェデ杯4強の難敵ウルグアイを倒した時、日本は屈辱から一時、解放される。懐かしい“香”りと“川”のせせらぎが響く被災地仙台。14年W杯へ、ここから再出発する。【益子浩一】