<国際親善試合:日本2-2ベネズエラ>◇9日◇横浜国際

 すぐそばで、2つの代表初ゴールが生まれた。不発に終わったキャプテンFW本田圭佑(28=ACミラン)は「1点目も2点目も完全におとりにされて決められた。昔の自分を思い出した。おめでとうと言いたい」と新たな力の台頭を感じていた。

 後半6分にFW武藤が強烈な左足弾をねじ込んだ。すぐ右をフリーで走っていた。パスをもらうタイミングも余裕もあったが、武藤はゴールに突き進み決めてきた。同22分には左サイドからのクロスに走り込んだがボールは後方に流れた。そこに武藤と同じ22歳のMF柴崎が走り込んで華麗なボレーシュートを決めた。

 2試合連続でキャプテンマークを巻きチームをけん引した。新体制初戦の5日ウルグアイ戦では黄色だったが、この日はピンク色。同戦後に1度“拒否”したがアギーレ監督の指名を受け、試合前のセレモニーから役割を果たした。試合中は2人の代表初ゴールも駆け寄って祝福した。

 ただ、主役の座を譲ったまま終わるような性格ではない。若い2人の初ゴールが生まれた後の同25分。柴崎と並んでキッカーに立った直接FKを、一切譲るようなそぶりもなく左足で蹴り左ポストに当てた。あと数センチ内側ならという惜しいシーン。意地とプライドを感じさせた。

 力は認めるが若い2人はあくまで新戦力。「本田を超えていく可能性は?」と聞くと、こう言った。「僕は当然、さらに伸びようとしている。おそらく彼らを意識すること、今後彼らを意識し続けるようなことがあれば“食われる”でしょう。でも僕は彼らをまだまだ意識していない。さらに上を意識している。その間はおそらく抜かれないという自信はあります。今後も数年は必ず維持できる、もしくは僕の方が引き離せるという自信はあります」と“無視”した。生きざまを示す、強烈な祝福だった。【八反誠】