日本代表のハビエル・アギーレ監督(56)が15日、八百長に関わった疑いでスペイン検察当局から告発された。ついに本格的な捜査が始まる。サラゴサ(現2部)監督時代の11年5月のスペイン1部リーグ・レバンテ戦に八百長の嫌疑がかけられ、スペイン検察庁反汚職課が、試合に関係したアギーレ監督を含む約40人をバレンシア裁判所に告発した。この日、メンバー発表をしたアジア杯オーストラリア大会(来年1月9日開幕)に、指揮官が「灰色」の状況で臨むことになった。

 日本代表監督が、ついに本格捜査の対象となった。この日、反汚職課のルソン検事が、当時のサラゴサのイグレシアス会長、アギーレ監督ら41人を八百長容疑で告発した。「八百長は一切していない」という指揮官だが、「灰色」でアジア杯に臨むことになる。

 異例の事態だ。過去、日本代表監督が捜査の対象に挙がることなどなかった。当時、降格危機にあったサラゴサのイグレシアス会長がアギーレ監督や選手の口座にボーナス名義で入金。それが相手のレバンテの選手らに買収資金として渡った疑いがあるとされる。

 スペイン紙も一斉に報道した。アス紙は「告発が容認された場合、次の段階の証人喚問を行うため自らがバレンシアに移動することも考えられる」と報じ、マルカ紙も「スペイン初の八百長容疑で、歴史的な裁判のプロセスがこれから始まる」とした。

 日本協会は、4日にアギーレ監督が海外視察を終えて再来日した後に事情聴取を実施。本人の潔白との主張をもとに「現時点で八百長をした証拠はない」と結論付けた。ただ、あくまで本人の主張を信じただけのもの。聴取した日本協会法務委員長の三好豊弁護士は「現時点でアギーレ監督の言葉を信じるしかない。何か動きがあれば再度聴取を考える。これが最後ではないと思う」と話していた。

 スペインでの告発は、本格的捜査の開始を意味する。日本協会は告発された場合、スペインでの証人喚問は来年2月になると想定し、アジア杯に影響はないという見解だ。だが捜査の結果、容疑が固まれば、起訴され被告の立場に追い込まれる。同弁護士は「起訴されるかが焦点」と説明。起訴され有罪となれば、スペインの「スポーツにおける違法行為」に対する刑法286条が適用され、懲役6月~4年、資格停止処分1~6年の罰を受ける。

 この日のメンバー発表でアギーレ監督は「日本の持つアジア杯のタイトルを守る。八百長の影響?

 今は競技面に集中する」と強調。告発の一報を受けた日本協会の西沢コミュニケーション部長は「協会には連絡はない。コメントのしようがない」とした。一方で、同協会の大仁会長は3日に「関与していると判明された場合、それ相応の判断を下す」と話し、有罪なら日本代表監督解任を示唆している。日本代表は指揮官が異常事態に陥ったまま、アジア杯に臨む。【菅家大輔】