ドローも小野復帰で光明見えた。J2札幌は大分に引き分けた。勝ち点3は取れなかったが、後半33分からMF小野伸二(35)が今季初出場。決定機をつくり、攻撃面のキーマンとしてアピールした。6月は本拠地未勝利も、7月攻勢に向け、大きな収穫となった。20試合で8勝9分け3敗の勝ち点33となり、順位は前節の5位から6位に落ちた。

 小野がムードとリズムを一変させた。1-1の後半33分、スタンドの大観衆を受けピッチに走り出ると、右FWに入り、攻撃陣をけん引した。まずは36分、右サイドからの絶妙なクロスを入れ、ニアサイドに走り込んだMF荒野の頭に合わせた。

 シュートは惜しくもゴール右に外れるも、今度は自らゴール前に進入。同44分、後方からのロングボールをFW都倉が頭で落としたスペースに走り込むと、今季初シュートを放つ。「イメージはできていたが、少し遊び心がなかった。もっと冷静になっていれば」。ボールはGK武田の正面でゴールはならなかったが、わずか12分間のプレーで、劣勢だった流れを変えてみせた。

 6月1日のC大阪戦で初のベンチ入りを果たしてから5戦目、ようやく“開幕”を迎えた。「ここまでベンチに入るだけで出番がなく、悔しかった」。前節21日北九州戦は、2日前の練習で右膝を痛めたこともあり、1-1と同点ながら、交代枠1枚残したまま出場機会は与えられなかった。

 「もっと監督の信頼を得ないと」。再アピールするはずの24日の練習でも、3月に手術した左膝を痛めて途中離脱した。幸い軽症だったため翌25日に復帰し、強い思いをトレーニングで出し切り、得たチャンス。少ない時間の中、天才の片りんを披露した。ケガの状態を心配していたバルバリッチ監督も「しっかりボールを動かし決定機もつくってくれた。小野の動きには満足している」と評価した。

 さあ、ここから本領発揮だ。「やっと今季の1歩を踏み出せた。歓声がすごくうれしかった。次のステップはゴール。1つチャンスがあった。そういうところを次から決めていかないと」。次の横浜FC戦、カズとの直接対決で、ゴールと勝利を同時に奪いにいく。【永野高輔】