現役生活ラストは、原点のポジションで飾る。コンサドーレ札幌は29日、札幌ドームで今季ホーム最終戦となる横浜FC戦に臨む。今季限りで現役引退を表明している曽田雄志(31)が、プロ生活をスタートさせたFWとしてピッチに立つ可能性が浮上した。26日の札幌・宮の沢での戦術練習で試され、石崎信弘監督(51)が起用を示唆した。プロ2年目の02年から主にDFとしてプレーしてきたが、Jデビューした位置で本拠地最後のピッチに立つ。

 本拠地最終戦を控えた26日の戦術練習、サブ組のセンターバックにいた曽田が、石崎監督から前線でのプレーを命じられた。キリノと2トップを組み、精力的にピッチを駆け回った。指揮官は「もともとセンターフォワードなんじゃろ。出るとしたらあそこしかない」と本来のDFではなく、プロデビューを飾ったFWでの起用を示唆した。

 両ひざと腰を痛め、今季公式戦の出場はない。本職のセンターバックでの出場は、試合勘や連係面などを考えても難しい状況にある。曽田自身「後ろで貢献するようなコンディションじゃない」と話すように、決して体調は万全ではない。そこでFWでの起用が浮上してきた。

 筑波大から札幌入りした01年、身体能力を生かした高さを武器に、リーグ戦9試合に出場。翌年はDFとFWの二刀流で、23試合で4得点を挙げた。札幌ドームで行われた同年最終の広島戦では、FWとして途中出場してハットトリックも決め、Vゴール勝ちにつなげた。思い出深い地で、思い出ある位置で、現役ラストを飾れるチャンスが訪れようとしている。「与えてもらえるなら何でもやる」と貪欲(どんよく)にその機会を生かす構えでいる。

 有終の美を飾るためには、ベンチ入りの座を勝ち取らねばならない。ただ慎重な口ぶりだった25日から一転、この日の練習後は「コンディションは良かった」と話し、徐々に状態が上向いているのは確かだ。9年間のプロ生活の集大成を、地元ファンにしっかり見せるため、残り2日、万全を期していく。【砂田秀人】