<データが語るJリーグ>

 甲府に「小さな巨人」がいた!?

 Jリーグ公認データ「スタッツスタジアム」によると、身長176センチの甲府DF佐々木翔(25)が「自陣ペナルティーエリア内での空中戦」でリーグ最多の23勝をマーク。名古屋DF闘莉王の22勝を「頭1つ」抑えてトップに立つ。センターバックとしては小柄だが、185センチの元日本代表DFを上回る勝ち星を挙げているのだ。

 体格で劣るDFが空中戦を挑むときの定石は、ボールに対してというより、相手に体を寄せて簡単にプレーさせないことが挙げられる。必然的に空中戦の勝利数も伸びない。だが、甲府の小兵DFは制空権をゆずろうとしない。抜群の跳躍力で果敢にエアバトルを挑み、勝ち星を積み重ねる。

 もちろんジャンプ力だけではない。相手との駆け引きが巧みで、ポジショニングも的確。誰よりも速くボールの落下点に入り、頭ではね返し続ける。その能力は相手エリア内でも発揮され、前節26日の川崎F戦ではセットプレーから決勝ヘッドを決めた。

 チームは攻め込まれる回数が多く、リーグ13位と降格危機にあるが、意外にも被シュート数はリーグ最少の228本。攻撃に多くの課題は残すものの、佐々木を中心とした堅い守りは大崩れしそうにない。【石川秀和】