途中出場でも本田圭佑(32)が仕事をした。後半25分に出て、3分後に左CKを正確な軌道で大迫にピンポイントで供給。決勝点をお膳立てした。試合直後には「決勝点に絡む仕事ができてうれしい。決勝点を決める活躍ができればいいんですが…」。時間がたった取材エリアでも、終始険しい表情。浮かれる可能性のあるチームを引き締めるためか、1度も笑わなかった。

 10年南アフリカ大会の初戦カメルーン戦から、14年ブラジル大会のコロンビア戦までワールドカップで常に先発してきたが、8試合目で初めてベンチから。ただ、できる仕事はある。西野監督の「拮抗(きっこう)した中で、何かをもたらす選手」との信頼に応え、3大会連続のアシストを記録した。

 劇的な勝利を「このハプニング(出来事)は、ちょっとカメルーン戦の時とかぶる。ラッキーなものを、モノにした」と、決勝トーナメントに行った8年前になぞらえた。

 ここから先発奪回、何よりチームの引き締め役、重しになる。「自信を過信に変えるタイミング。この勝利で、いい意味で冷静に調子に乗れれば。僕はあんまり乗らずギャップを埋めたない。元気、昌子、宏樹、貴士、このへんは勝ったことで緊張感がほぐれたんじゃないか」。

 では本田圭佑はどうか。「冷静も冷静ですし、僕としてはホッとしてる。ようやくスタートに立てた。ここからようやくW杯が始まる」。集大成と位置付ける3度目のW杯はここからだ。【八反誠】