今大会のフランスは若いチームといわれるが、所属クラブを見てほしい。センターバックのバランはレアル・マドリード、ウンティティはバルセロナ、他にもビッグクラブが並ぶ。「毎週末が大舞台」の選手ばかりで、年齢は若いが、経験豊富だ。

 決勝でフランスは守りから入って、初めてのシュートとなったFKからオウンゴールで先制と、流れがよかった。1-1の同点に追いつかれたが、10分後にはビデオ判定(ビデオ・アシスタント・レフェリー=VAR)でのPK獲得で勝ち越し。守備的MF出身のデシャン監督らしく、その後は守ってカウンター狙いに徹した。1度も先行を許さなかったから、無理をしないですんだ。ブラジル戦でも、ベルギー戦でも守って逃げ切った。ハプニング続きのW杯らしく「VARに始まり、VARに終わった」形だ。今大会最初にVARの対象となったのもフランス-オーストラリア戦だった。

 最大の功労者はMFポグバだろう。派手さはないが、相手MFモドリッチとMFラキティッチを抑える役目で、素晴らしい運動量を見せた。さらに後半14分に相手を突き放す重要なゴール。エムバペの高速ドリブルが注目されがちな場面だが、自陣でエムバペにパスを出して起点になったのもポグバ自身だった。シュートは決まらなかったが、その後にもゴール前でフリーで球を受けるチャンスがあった。

 センターバックの2人も大会を通して好守備でチームを支えた上、セットプレーで得点を挙げるなど、貢献度は高い。VARの効果か、今大会はセットプレーからの得点、特に高さを生かしたDFの得点が目立っていた。

 クロアチアはよく攻めたと思う。技術もあった。ただ交代出場の選手がいまひとつで、選手層が物足りなかったのと、失点の多さが残念。モドリッチも最後は疲れが出た。(日刊スポーツ評論家)