イランは15日の初戦モロッコ戦で、後半ロスタイムのオウンゴールで1-0で下してW杯20年ぶりの勝利を挙げて勢いづく。12戦勝利なしだったW杯のアジア勢の停滞を終わらせ、次は強国撃破に燃える。

 不安要素はモロッコ戦でも存在感を見せたセンターバックのDFチェシュミの負傷離脱。17日の練習中に筋肉系トラブルに見舞われ、全治4週間の診断を受け、スペイン戦の欠場が決まった。堅守速攻の要の1つを失い、持ち味が発揮できるかどうか。19日の会見では、ケイロス監督は「素晴らしいチームと対戦できることに、みんな高揚している。成長するチャンスだ」とチャレンジャー精神の前向きな姿勢を強調した。

 対するスペインは初戦はポルトガルとのライバル対決に3-3の引き分け。持ち味の短いパスの崩しに時にはロングボールを交えた展開で強さは見せたが、相手エースFWロナウドにハットトリックを許した。

 試合前から話題は監督に集中していた。レアル・マドリードの監督就任が発表されたロペテギ前監督を13日に解任。イエロ・コーチが昇格して指揮を執った。国際舞台での経験に乏しいことから、采配に不安の声もあった。ポルトガル戦では3-2とリードしていた後半25分に支柱のMFイニエスタを交代させ、結果的に終了間際に追いつかれてしまった。イラン戦はボールを支配できる予想が立つだけに、逆に守備の要DFセルヒオラモスの出来が結果を左右する。ポルトガル戦では115本の長短のパスを出し、112本と成功させた。押し込む展開が多くなりそうなだけに、攻守で役割が増えそうだ。

 また、FIFAの公式HPでは、この試合に関するアクセスが日本から多いとしている。ケイロス監督は元名古屋、MFイニエスタはW杯後にJ1ヴィッセル神戸入りすることも、その一因となっていると思われる。そのイニエスタは「監督交代はもう忘れたい。今やっていることに集中したい。タフな試合になるだろうが、勝てば1次リーグ突破に近づく」と必勝を期している。

 ◆放送 日本テレビ 21日午前2時40分