日本代表MF本田圭佑(32=パチューカ)が貴重な勝ち点1を手にする同点ゴールを奪った。1-2の後半33分、MF乾貴士の左クロスに左足ダイレクトで合わせた。日本人初となる3大会連続ゴールは、2大会ぶりの決勝トーナメント進出へ近づく殊勲の1発となった。

 後半27分、ピッチの緊張感が一気に高まるのを感じながら、本田はMF香川に代わって出場した。その直前、ベンチで名前を呼ばれてすぐ、セネガルに勝ち越しゴールを奪われた。精神状態は先発のときとは明らかに違う。「1発目で決めないといけないという気持ちで」。乾のクロスにニアサイドへ飛び込んだFW岡崎がつぶれ役となり、ボールはファーサイドへ。待っていた本田は訪れた決定機を逃さなかった。「こういう流れで結果を出せたことはうれしい」。笑顔を見せることなく話したが、開幕前に広まった負の喧騒を吹き飛ばす1発。大舞台で結果を残し続けてきた勝負強さはやはり無類だった。

 試合後は、どういうコンディションの合わせ方をすればいいのかという報道陣の質問に「逆に、まだ気づいてないの、という感じです」と表情を険しくした。自身初のW杯だった10年南アフリカ大会から8年。強気な言葉を選び、ずっと矢面に立ち続けてきた。「しゃべってきましたけどね。ちゃんとパーソナリティーを見てほしい。いいかげんなこと言ったつもりはない。ここにいるほとんどの人の名前は言えないけど、僕はリスペクトしながらしゃべっているつもり」。

 本田はさらに続けた。「どういう思いで前回の試合、今回の試合に向けて準備してきたか。結果だけをみるのではなくて。僕だけじゃなくて、代表にいる選手は(試合に)出られないメンバーを含めて、日本人には想像もできないような努力をしてきている」。結果が全てだということは当然理解している。その上で呈した苦言だった。

 「僕はたたかれるのも本当に感謝している部分もある。だけどそうじゃない人もいる。そこの(評価の)上げ下げを楽しむのは、僕だけにしてほしいですね」。次に結果を出せなかったら、また批判してくれてかまわない-。威勢でなく、本田はそう考えている。【岡崎悠利】