PK戦のチリはGKブラボがアルゼンチンの3人目を止め、3-1とリードした。次のサンチェスが決めれば優勝だ。大観衆が固唾(かたず)をのんで見守る中、エースが強く蹴ると見せかけて軽く右足でキックした球はゆっくりゴールに吸い込まれ、歓喜の瞬間を迎えた。

 チリを率いるアルゼンチン出身のサンパオリ監督は「世界最高の選手であるメッシを徹底的に抑えることに集中させた」と地元メディアに語ったように対策を徹底。大黒柱が精彩を欠いたアルゼンチンはいら立ち、その影響もあってかPK戦では2人続けて失敗した。

 自国開催の南米選手権で、アルゼンチンは因縁の相手だった。1955年大会は決勝で敗れた。91年大会は往年の名FWサモラノが5得点と大暴れしたが4位に終わり、アルゼンチンが制した。その雪辱を果たした。

 チリは中心選手のビダルが1次リーグ途中に酒気帯び運転で事故を起こし、逮捕されたが、チームに残ることを許されて活躍。本人は「夢のようだが、こういう結末が必要だった。チリにとって至福の日だ。個人的にも皆に感謝したい」と喜びに浸った。