<欧州CL:シャルケ2-1インテルミラノ>◇準々決勝◇13日◇ゲルゼンキルヘン

 シャルケDF内田篤人(23)が、インテルミラノDF長友佑都(24)との欧州CL初の“日本人対決”を制した。シャルケは13日(日本時間14日)、ホーム(ドイツ・ゲルゼンキルヘン)でインテルを破り、2戦合計7-3で、クラブ史上初の準決勝進出を決めた。日本選手のCL4強入りも初めて。内田は右サイドバックでフル出場し、長友と直接対決する場面も多かった。26日、5月4日の準決勝ではマンチェスターUとぶつかる。勝てば奥寺康彦氏(当時ケルン)が前身の欧州チャンピオンズ杯ベスト4に進出したのを超え、日本人初の決勝進出となる。

 終了のホイッスルの瞬間、内田は真っ先にGKノイアーに抱きつき、DF陣とともに喜びを爆発させた。そして1人、喜びの輪から離れると、相手DF長友に歩み寄った。ユニホームを脱ぎながら言葉を交わし、自分のユニホームを手渡すと、長友から「頑張って」と肩をたたかれた。「日本の皆さんとボクの気持ちはウッチーに託した」と東日本大震災後、混乱する母国を励ます役割を任された。

 試合を通して激しく競り合った。前半8分に右サイド深く攻め込んだ内田は、長友のマークにクロスを上げられなかった。逆に同12分にはサイドを上がった長友のクロスをカットした。イタリア紙ガゼッタ・デロ・スポルトは「長友との果たし合いは黒沢映画のようだった」と2人の意地をかけた戦いを表現した。

 相手FWエトーのマークもほぼ完璧にこなした。飛び込まず、じっくり追い込み、プレーを遅らせて味方のフォローを待つ確実な守備を実行。「ずっと見て、タイミングをとってというのが面倒くさかったですけど、やらないと勝てないので。リベリの時と同じ」という。

 3月2日のBミュンヘンとのドイツ杯準決勝で相手MFリベリを「心中するつもりで」と徹底マークし完封した。エースキラーとして名を上げ、ハーフタイムにはインテルDFマイコンからユニホーム交換を申し込まれた。取材中も通りがかったエトーに「ブオノ(グッド)」レオナルド監督からは「ガンバッテネ」と声をかけられた。無名の日本人はトップ選手の1人として認められた。

 欧州へ憧れて移籍する日本人選手がほとんどの中、内田は欧州サッカーの知識をほとんど持たず、厳しい環境だけを求めて海を渡った。インテルとの第1戦でも「10番のヤツうまいね」とオランダのW杯準優勝の立役者の相手MFスナイダーを評した。リーグの格や実績による先入観なく、純粋にサッカー選手として向き合っている。それが自分らしいプレーを引き出す。

 日本人初の4強にも、内田は「若い選手はうまいから、すぐに(後輩が)みんな出てきますよ」と気負いはない。自然体で日本サッカーの歴史を塗り替えていく。【中野吉之伴、波平千種通信員】