[ 2014年2月7日9時34分
紙面から ]決勝進出を決めた上村は観衆の声援に笑顔で応える(撮影・井上学)<ソチ五輪:フリースタイル>◇予選1回目◇6日◇女子モーグル
フリースタイルスキー女子モーグルで5大会連続出場の上村愛子(34=北野建設)が、予選1回目で7位となり、8日の決勝に進んだ。スタートから勢いに乗り、途中で後傾姿勢になる場面もあったが無難に滑り切って21・01点。狙い通りに上位10人に入り悲願のメダル獲得へ好スタートを切った。伊藤みき(26=北野建設)は直前の公開練習で、昨年12月に前十字靱帯(じんたい)損傷のけがを負った右膝を再び痛めて棄権し、8日の予選2回目に回った。
白い雪のコースに、上村の白いウエアがライトと夕日を浴びて浮かび上がった。ゴールすると、納得したように両手を空へ突き出した。第1エアでは練習で軸がずれていたヘリコプター(横1回転)をきれいに決め、第2エアはバックフリップ(後方宙返り)を完璧に入れた。「朝からいろんなことを考えながら滑っていて、とにかく今できる一番良いアタックをしようと、気持ちから作っていきました」。迷いを吹っ切った滑りは力強かった。
スタートに向かう直前、泣きはらした目の伊藤に会った。所属も同じ後輩が、試合直前の公式練習で右膝を再び痛めて棄権。「頑張ってください」という言葉が胸に響いた。「ここまで調整して力強く滑ってジャンプもできるほど持ってきて、ここで出られないのはすごく悔しいと思う」。
予選前、2人で選手村から同じバスでコースに向かった。上村のズボンと、伊藤のウエアは同じ柄。バンクーバー五輪前までは上村が1人でエースだったが、昨季から伊藤が成長し、2枚看板になった。「いろいろ考えることも、上手に自分のパワーに変えられる人」と後輩の成長を喜んでいた。日本女子では唯一の予選1回目での通過。「しっかり滑れる自分は、みきに見てもらって恥ずかしくない滑りをしたい」と、決勝に目を向けた。
完璧な体とメンタルでスタート台に立ったつもりだ。硬いアイスバーンに、人工雪が乗ったコース。とんがったコブがエア台の直前まで並び、第1エアと第2エアの間は斜度が小刻みに変わる難コースを前に、練習すればするほど修正点が出てきた。それでも「最後は足りないところも、できていないところも、全部含めていいんだと思えた」。バンクーバー五輪後に1年の休養をはさみ、現役復帰。5回目の五輪を迎え、すべてを前向きにとらえられるようになった。
8日の決勝は、特別な思いのあるナイターゲーム。シーズンを通して行われるW杯では昼間の試合が多い。そんな中、米ディアバレー大会は夜の試合。観客の熱気とライトアップされるコース。昼よりも気温が下がって雪の状態が変わり、条件は難しくなるが「ナイターの雰囲気が好きで、わくわくする。滑るのがうれしいんです」と言う。心躍るコースを攻めて攻めて滑り降りたとき、上村の目に見える景色は、輝いているはずだ。【保坂恭子】
◆上村の過去の五輪
長野・白馬高3年で98年長野に初出場し、7位入賞。里谷の金メダルを見て「五輪は(出場して)楽しんでいるだけじゃ全然楽しくない」。02年ソルトレークシティー五輪は予選4位、決勝の第1エアの着地でバランスを崩して6位。06年トリノ五輪は高難度の3Dエアを披露したが、5位に終わり「長いな。そろそろ(メダルを)もらえると思ったんだけど」と話した。4大会連続出場の10年バンクーバー五輪では予選5位、決勝4位に終わり「どうしてこんなに1段1段なんだろうって思いました」。


