欧州で絶大な人気を誇る最高峰の自転車ロードレース、ツール・ド・フランスが7月4日に開幕する。1903年に始まった伝統のレースは96回目を迎える。

 ことしはモナコをスタートし、フランスを中心にスペインのバルセロナなども巡る。約3週間、7月26日のパリ・シャンゼリゼでのゴールまで総距離約3500キロの争いが20チーム、180選手により繰り広げられる。レースは平地ステージにピレネーやアルプスなどの山脈を越える山岳ステージ、そして短距離の個人タイムトライアルの3種類、計21ステージで行われる。

 個人戦のイメージが強いが、1チーム9人が参加するチームの戦いが本質だ。エースとアシストに役割が分かれる。アシストはエースを勝たすために風よけとなったり、飲み物を運んだりと脇役に徹する。また、コースに応じてギアの歯数やホイールとタイヤなどを変えるメカニックの技量なども含めチームの総合力が試される。

 今大会には前人未到の7連覇を達成したランス・アームストロング(37=米国)が4年ぶりに戻ってくる。睾丸(こうがん)がんを克服した経験から「世界的ながんの苦しみに対する関心を高めるために」と1月に現役復帰。3月にはレース中に転倒して右鎖骨を骨折するアクシデントにも見舞われたが、5月に開催された世界3大ロードレースの1つ、ジロ・デ・イタリアでは総合12位に入った。かつては山岳ステージでの圧倒的な強さを武器に王座に君臨したアームストロングがどんな走りを見せるのか、注目したい。