10日まで行われた米男子ゴルフの今季最初のメジャー、マスターズで松山英樹(24=LEXUS)が優勝争いの末に7位。日本男子初のメジャー制覇に迫った舞台裏を松山の専属キャディーである進藤大典氏(35)が語った。

 今年のマスターズが終わりました。たくさんの応援、ありがとうございました! 現地にも大勢の日本人の方が応援に来ていただき、あらためて、この場を借りてお礼を申し上げます。

 今回は3日目にジョーダン(スピース)が上がり2ホールで3つ落として、みんなにチャンスを与える形になりました。去年のジョーダンなら、そんなことはなかったと思います。今年はプレーを見ていても、明らかに余裕がなかった。それだけのプレッシャーを感じていたんでしょう。

 英樹はいつも通りだったと思います。コースは去年よりグリーンが硬く、難しい条件でしたが、それはみんな一緒。チームとしても、英樹なら優勝争いはできると思って臨んでいました。最終日も(ホールアウト時の)4打差より2打差の方がチャンスは大きい、とシンプルに考えていました。

 ただ、同伴競技者のランガーさんとプレーのかみ合わせがいまいちかもしれない、という不安はありました。13番のイーグルパットの時、英樹はマークをしてからランガーさんのプレーを10分くらい待っています。短い距離でも時間があればあるほど、余計なことを考えて難しくなる。「最初の読みで本当に合ってるかな」とか疑心暗鬼になり、神経質になる時間が生まれてしまいますから。流れが変わりそうな場面だっただけに、嫌な感じがしたことを覚えています。

 それでも、悪いことばかりじゃありません。メジャーで優勝争いの雰囲気を感じられたことは、間違いなくいい経験になるはずです。フェニックス・オープンもそうでした。14年にPGAツアーで最初の優勝争いをして、去年は最終日最終組で回って負けた。その2年の経験とプロセスがあって、今年、リッキー(ファウラー)に勝つことができた。それと同じプロセスを踏んでいるのかもしれない、と今は感じています。この悔しさを、必ず、次のメジャーでの優勝争いに生かしたいと思います。(2016年4月13日付紙面掲載)