日刊スポーツで藤田寛之プロ(44=葛城GC)の「アラ40GOLF」の動くレッスンが4月から始まっている。その矢先、国内開幕第2戦のつるやオープン(4月27日最終日)で藤田プロはプレーオフを制して、ツアー16勝目、40代になって区切りの10勝目を挙げた。

 掲載している本紙のだれもが喜んだ。担当している私も、この勝利に何の力も関与していないのではあるが、なぜか誇らしかった。

 一昨年に43歳で初めて賞金王に輝いたが、昨年はシーズン前に右肋骨(ろっこつ)を疲労骨折する故障が響いて不振をかこった。そして、巻き返しを誓った今季、すぐに勝利という結果が出た。まだシーズンは始まったばかりだが、故障さえなければ、賞金王争いに割って入ってくると思う。

 静岡・葛城GCで何度もレッスンの取材をしている。トーナメント会場でも選手と記者という立場で話をし、プレーも見る。藤田プロは、自分の立場、状況がいい時も悪い時も穏やかな対応をする。物腰も柔らかい。これが人間・藤田の部分だ。選手・藤田については、ゴルフに取り組む姿勢がいつも真摯(しんし)であることに集約されている。

 投げたようなプレーや素振りは見せない。自分のところの新聞で毎週レッスンを掲載しているからだろう、と言われるかもしれないが、まったくお世辞を言うつもりはない。もうすぐ還暦を迎え、ニッカンに入社して38年目だから、少しは人を見る目はあると思っている。

 そんな藤田プロが、5月10日に、静岡県浜松市にできた「ヤマハジュニアゴルフスクール」の校長先生に就任した。ヤマハ株式会社が小学3年生から高校3年生まで対象に募集したもので、初年度は40人の生徒でスタートした。同県掛川市に住むヤマハ契約の藤田プロが校長を務めるのは必然的で、同プロ自身がレッスンカリキュラムを設計、監修して、技術だけでなく、ゴルフというスポーツを通じて健全な人間形成を目的としている、と言う。

 私は「今の若いゴルファーはどうだ」なんて苦言を呈するつもりも、また技術を語るつもりもない。道具やボール、トレーニング方法の進化で、ジュニアゴルファーから、若い世代のゴルファーの「体技」の進歩はすさまじいものがある。しかし、「心」の部分はどうであろうか。私はゴルフというスポーツの中に、日常生活で人間としてやらなければならないことと共通していることが多々、存在していると思っている。

 たとえば朝会えば「おはようございます」とあいさつをする。プレー中、フェアウエーで距離を考えている人や、グリーン上でラインを読んでいる人の前を通らない。通る時には「前を失礼します」とひと声をかける。食堂で目上の人と食事をする時、自分のものが先に運ばれてきても、はしをつけずに待っている。「先に食べなさい」と目上の人に言われたら「お先に」と言ってはしをつけるか、「もうすぐ来るようなので」と先輩の食事が来るのを待ってから食べる等々…。上げれば、キリがない。ゴルフのマナー、礼儀はそのまま人間生活に通ずるものばかりだと思う。

 そのことを藤田校長も強調する。「ヤマハジュニアゴルフスクールでは心も刺激したいと思っています。日常では当たり前にできなければならないことを、ゴルフを通じて、みんなが学んでいければと思っています」。

 まだ1校目ができたばかりだが、これから全国に広がればいいと思う。藤田プロが教える、技術だけではない心豊かなゴルファーがどんどん増えることを楽しみにしたい。【町野直人】