【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)2日(日本時間3日)=木村有三】石川遼(18=パナソニック)が「無視」された。今季初戦となる米ツア-・ノ-ザントラストオ-プンは4日にリビエラCCで開幕する。石川はこの日、2年連続で公式会見に招かれたが、昨年約20人集まった外国人記者は今年はゼロ。それでも石川は「ナッシングベンチャ-ド、ナッシングゲインド(冒険しなければ何も得られない)」と英語でコメント。試合で結果を残し、アピ-ルするしかない。

 1年前のフィ-バ-が、うそのようだった。直前に行われたメジャ-3勝の実力者ハリントンの会見に出席していた外国人記者約10人は、石川の番になってすべて退席。石川を待ち構えた記者は、約15人の日本人だけだった。海外メディアに「無視」された形の18歳は、闘志が燃え上がったように口を開いた。

 「今日は(英語での質問が)なかったですけど、試合でいいプレ-すれば、話しかけてくれるテレビ局があるかもしれない。そのときは(英語で)挑戦したいですね」。日本人記者から英語での決意を求められ「ナッシングベンチャ-ド、ナッシングゲインド(冒険しなければ、何も得られない=虎穴に入らずんば虎子を得ず)」。今に見てろ、と言わんばかりだった。

 米ツア-デビュ-戦だった昨年は、遠く日本から来た少年に熱視線が注がれた。約20人の外国人記者を含む100人以上の報道陣が会見に集まった。この1年で、石川は日本の賞金王へと飛躍。今年はさらに注目度が上がるかと思いきや、完全に肩すかしだ。

 注目の組み合わせも、ともに米ツア-優勝経験者ながら一般的には無名のホフマンとテイラ-に決定した。時間帯も、芝が荒れる最終組の1組前だ。日本の中継テレビ局が組み合わせにも影響力を持つメジャ-大会と違って、今大会は日本で地上波中継のない米ツア-一般大会。石川への特別扱いは一切なかった。

 海外メディアの注目を取り戻すには、結果を残すしかない。石川は「何事も1度目と2度目ではかなり差があると思う。(予選落ちした)昨年の悔しかった経験を、今年のこの大会に生かしていきたい」。闘争心に火が付いたことだけは、間違いないようだった。