宮里美香(25=NTTぷらら)がメジャー初優勝を逃した。首位と2打差4位で出て、14番パー5でチップインイーグルを奪うなど見せ場を作ったが、73で通算5アンダー283の7位に終わった。ショット、パットとも前日までの精度を欠き、77年全米女子プロの樋口久子以来2人目の日本女子メジャー制覇はならなかった。世界ランク1位朴仁妃(27)が65を出し、通算12アンダーでメジャー7勝目を飾った。

 メジャー制覇への執念が、劇的な1打を生んだ。宮里の14番パー5。スコアはスタート時の通算6アンダーのまま伸ばせず、一時首位を走った高真栄と5打差…。後がない状況で、グリーン右手前からピンまで20ヤードの第3打。ウエッジで10ヤード強キャリーを出した。着弾したボールがスライスラインを描き、カップインした。首位と3打差とするイーグルに、思わず両手を上げた。万歳ポーズを見せた。

 苦しい戦いだった。前日まではパットが絶好調で、第3日は70とし、首位と2打差に迫った。大会3日間の平均パット数部門別ランクの平均パット数は1位。大きく、うねりの激しいグリーンにも「実際のフィーリングと、頭の中のイメージがすごくフィットしている」という。今季の米ツアー部門別ランクも、平均パット数は3位。過去最高は昨季の14位だった。

 今季開幕2戦目の2月ピュアシルク・バハマLPGAクラシックで、パターを替えた。慣れ親しんだオーソドックスなマレット型から、テーラーメイド社のゴースト・スパイダーSiへ。ヘッドは、ツノが生えたようなネオマレット型。長さは3インチ前後も長い36・5インチ。グリップもシャフトの半ばまである。パットの絶不調で予選落ちした開幕戦を踏まえた決断だったが、見た目も、重さも、バランスも、長さも…従来モデルと極端に違う新パターが、宮里のパットに劇的な変化をもたらした。

 しかし、最終日は勝手が違った。1番で幸先よくバーディーを奪ったが、4番でボギー。チャンスホールの7番パー5もきっちりバーディーとしたが、11番パー3は第1打がグリーンを大きくショートしてボギー。劇的イーグル後も15、16、18番でボギーをたたいた。好調だったパットも、得意のパンチショット、コントロールショットも前日までのさえがなかった。

 通算29度目のメジャー舞台。「最終的にはショートゲーム。チャンスにつけた時に、いかに決めきれるかが重要」と話していたが、夢はまた持ち越された。