池田勇太(30=日清食品)が2日がかりのプレーオフを制して、今季2勝目、通算15勝目を挙げた。前日に通算14アンダー270で並んだ宋永漢(25=韓国)とのプレーオフが4ホール終了時点で日没に。この日午前7時から再開され、通算9ホール目でバーディーパットを決め、パーの宋を退けた。これで池田は今季獲得賞金を1億248万3703円にして、賞金ランク2位に浮上。30歳での通算15勝達成は史上2番目の速さだった。

 プレーオフ通算9ホール目で2メートルのバーディーパットを沈め、池田にやっと晴れやかな笑顔が戻った。「神様が最後まで『お前はどこまで我慢できるのか』と試練を与えられた。これでやっと吹っ切れた」。最近3戦で2位2回。いずれも最終日最終ホールでボギーと自滅した。「とにかくボギーを打たないようにと肝に銘じて」。プレーオフはすべてパーオン、バーディーパットを外しても「短気になってはいけない」と自分に言い聞かせていた。

 今季はクラブやウエア契約を変更し「新生勇太」として4月に1勝。「次の自分をつくろうと」ここまでの14勝を共にしたプロキャディーの福田央さん(40)とのコンビを9月から解消した。その後、コースを熟知するハウスキャディーも起用したが、今回はワンポイントでプロキャディーの坂井恵さん(38)にバッグを預けた。ウイニングパットの直前には「(ラインを)決めたら自分を信じて打っていこう」と声をかけられて力になった。新たな挑戦がまた1つ成果を生んだ形だった。

 「今日勝ったことで新たなスタートラインに立った気持ち」とも。これで念願の賞金王へのチャンスも見えてきた。今回の勝利が精神的成長につながるか「それは(今週の)日本オープンの戦いを見てみてでしょう」と、自分に期待していた。【岡田美奈】

 ◆男子ツアーの最長プレーオフ 76年ペプシ・ウィルソンでの14ホール。トムソン、マーシュ、ジョーンズ、宮本省三の4人によるものでトムソンが優勝。9ホールでは90年中四国オープンで奥田靖己、河村雅之と渡辺司(西)が争い、奥田が優勝した例がある。