<男子ゴルフ:長嶋茂雄招待セガサミー杯>◇初日◇23日◇北海道・ザ・ノースカントリーGC(7115ヤード、パー72)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 54歳の中嶋常幸(フリー)が、4バーディー、ノーボギーの4アンダー68で回って、首位と1打差の4位で発進した。右脇腹肉離れから約1カ月半ぶりの復帰戦。関節の可動域を広げるトレーニングの成果で、ドライバーの飛距離は全盛期に近い280ヤード。「涙が出ちゃうぐらい」の感動を受けた全英オープンでのトム・ワトソン(59=米国)に負けじと奮闘した。

 珍しく口ひげをたくわえた中嶋が、少し照れたように初日を振り返った。「出来過ぎだと思うよ、出来過ぎ。危なかったのは2つくらいかな」。前半からショットが安定し、5メートル前後のパットも次々と沈めた。4つのバーディーを奪い、ボギーなしのラウンドに「北海道は成績いいし、洋芝が合うのかな~。金髪が好きってわけじゃないんだけどね」とおどけた。

 前週の全英オープンをテレビで観戦した。メジャー大会史上最年長優勝をあと1歩で逃したワトソンのプレーに「涙が出ちゃうくらい、すごかった」と感動した。ワトソンと同じく、シニアの年代になっても、レギュラーの大会に出場する。あの奮闘が刺激にならないはずがない。

 注視したのは、フォローの風に乗れば300ヤードを超えるワトソンの飛距離。自身も関節の可動域を広げる独自のトレーニングで、維持しようとしているポイントだ。飯田トレーナーによると、中嶋の関節は「30歳代のゴルファーより柔らかい」。飛距離は年々伸びているという実感があるようで、中嶋は「今が一番飛んでいるんじゃないか」と話しているという。この日の3番(574ヤード)の第1打は281ヤードを記録した。

 2日目に右脇腹の肉離れで棄権した、6月の日本ツアー選手権以来の復帰戦。ツアーを休んでいる間は、クマに会いたいと知床半島を歩いたり、青森と秋田の県境にある十和田湖で魚釣りをして気分転換。今月1日から練習を再開し、「解禁になってから、ばんばん練習した」と笑った。

 5月の三菱ダイヤモンド杯の3日目で2位と、優勝はあと1歩だった。負傷のため、ワトソンが出場する23日開幕の全英シニアオープンの出場は断念したが、3年ぶりのレギュラーツアー優勝が視野に入ってきた。報道陣から「優勝」という言葉が出ると「内心、期待しているんだから」と、ニンマリしていた。【阿部健吾】