<男子ゴルフ:ダイヤモンド杯>◇初日◇26日◇千葉CC梅郷C(7108ヤード、パー72)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)

 富田雅哉(33=瑞陵GC)が6バーディー、1ボギー、5アンダー67で、首位と1打差の4位につけた。2月にキャディーバッグを盗まれ、パター以外の愛用クラブを失った。プロの命を紛失してショックは大きかったが、新クラブで出直しを決意。この日は新たなドライバー、3番ウッドで好ショットを連発。地道なクラブ調整で初日好スタートにつなげた。2年連続の全米オープン出場を決めた石川遼(19)は2アンダーの14位。上田諭尉(37)増田伸洋(38)金度勲(22)が6アンダーで首位に並んだ。

 やっと、盗まれたクラブと同じ感覚が戻った。14番パー5。富田は新たなドライバー、3番ウッドで2オンし、楽々バーディーを奪う。この日は新クラブを武器に6バーディー。1打差4位の結果に「悩んでいたけど、ようやく何とか納得できるショットが打てた」と笑顔を見せた。

 オフの2月に盗難事件に見舞われた。練習ラウンドで訪れた千葉のゴルフ場で、一瞬目を離したすきに、キャディーバッグを盗まれた。パター以外のクラブはすべて紛失。特に3番ウッドはツアー初優勝した09年4月つるやオープンでも使用したもの。長年愛用し、調子のバロメーターも測れただけに、目の前は真っ暗。

 微妙な感覚頼りのクラブ調整には時間がかかる。思い通りに球が飛ばず、盗まれたクラブへの未練は募った。だが、2週前の日本プロで同じ田中秀道を師匠に持つ河井博大がプロ16年目でツアー初優勝。「つらいときも見てますからね。うれしいし、もっと頑張って食らいついていかないと」と焦りを打ち消し、クラブ調整に励んできた。

 新クラブがなじみ、首位と1打差の4位。それでも盗まれた愛着あるクラブを忘れたことはない。「ウエッジには富田の名前が入っています。Yahoo!オークションなどで見つけたら、みなさん、連絡をよろしくお願いします」。そう周囲に懇願したが、この日のプレーを見れば、もうかつてのクラブは必要ないようだった。【田口潤】