<男子ゴルフ:全英オープン>◇最終日◇20日◇英国・ロイヤルリバプールGC(7312ヤード、パー72)◇賞金総額800万ドル(約8億円)優勝賞金166万9512ドル(約1億6695万円)

 【ホイレーク(英国)=塩畑大輔】小田孔明(36=フリー)が将来の海外進出へ向け、布石となる好スコアをたたき出した。8バーディー、1トリプルボギーで、この日全体3位の67をマーク。通算1アンダー287の39位まで浮上した。松山英樹(22)はボギー先行の苦しい流れだったが、71とまとめ、小田孔と並ぶ同1アンダー39位でフィニッシュ。英国のロリー・マキロイ(25)が同17アンダーで海外メジャー3勝目を挙げた。

 会心のラウンドを終えた小田孔は「ホント、アイアンがキレッキレやったもんね」と笑顔をはじけさせた。前日の雨で地面がやわらかくなったことで、強くヘッドを芝に打ち込んでキレを出すアイアンが、本来の威力を取り戻した。難しい1、2番から立て続けに2メートルのバーディーチャンスをつくり、まだ眠い目をこするファンを振り向かせた。

 3番パー4では、第2打をグリーン右のOBエリアに打ち込んでトリプルボギーとしたが、アイアンの好感触は消えはしなかった。5番からは4連続バーディー。強い向かい風の17番でも、残り227ヤードの第2打を3番アイアンでピン手前5メートルに運んで、8つ目のバーディーを挙げた。結局、ほとんどのホールでバーディーチャンスをつくり、目が肥えた英国のファンをもうならせた。

 「今日のゴルフさえすれば十分戦える」と小田孔。前日から順位を24も上げて39位に浮上し、現在1位の国内ツアーの賞金額にも362万5266円を加えた。目標の賞金王へ、大きな弾みとなった。

 その先には、海外挑戦も見据える。国内賞金王か国内3大大会の制覇で、5年シードを得たあかつきには、米ツアーなどへの本格参戦を考えている。石川遼、松山が米ツアーに相次いで打って出て、松山は優勝まで成し遂げた。3月にはアジア選抜の一員として、大陸対抗団体戦のユーラシア杯で、欧州選抜と対戦。相手メンバーのほとんどが、直後のマスターズで優勝争いを演じたことも、刺激になっていた。

 この日の好スコアを喜ぶ一方で「僕らは刻み中心の戦略だったけど、マキロイらトップ選手はドライバーで攻めに行く場面も多かった。だからこういう難しいコースでも、彼らにはバーディーが続けてくる」と冷静な分析も欠かさなかった。すすきを強風がゆらす荒涼としたリンクスの舞台で、世界に向けた大きな1歩を踏み締めた。