<男子ゴルフ:ブリヂストン・オープン>◇最終日◇26日◇千葉・袖ケ浦CC袖ケ浦(7119ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 小田孔明(36=フリー)が5月関西オープンに続く今季2勝目、ツアー通算8勝目を挙げ、賞金ランク1位に浮上した。首位から出て68で回り、通算15アンダーの269。一時は藤田寛之(45)に並ばれるも、18番パー5でバーディーを奪って振り切った。初の賞金王と来年のマスターズ出場へ、足がかりをつかんだ。藤田は賞金ランク2位に後退も、この日は64のチャージで1打差2位と意地を見せた。

 1メートルのウイニングパットが小田孔には「10メートルに感じられた」という。「久々にあんなに緊張した。イップスだった3年前以来かな」とも振り返る。沈めた瞬間、大きなガッツポーズ。前週まで賞金ランク1位だった藤田を逆転し、約589万円上回った。

 藤田に勝った達成感と、藤田の恐ろしさを両方感じた。13番終了時点で、5打差から出て15番を終えた藤田に並ばれた。14番の順位ボードを見て「やばい、と気合が入った」。前日は藤田の追い上げを知った5番で3パットボギー。この日は逆に15番ではピン手前1・5メートル、16番では2メートルにつけてバーディーを奪った。「藤田さんが優勝して独走態勢に入ってしまうのを阻止するため、僕が勝つしかないと思った」。

 試練は最後まで続いた。17番のボギーで、再び藤田と並んで迎えた18番、グリーン右ラフからの第3打はピンまで30ヤードのバンカー越えという難しい状況だった。「10回打って1回寄るかどうか。その1回が出てくれた」。絶妙なロブショットで狙い通り、25ヤード先に落として1メートルに寄せた。ロブは「去年までなら出来なかった」。今季全英、全米プロとメジャー2試合に出て、学んだ技だった。

 もちろんまだ楽観はしていない。「賞金額は抜いたけど、勝利数は負けているし、最終戦まで全部勝つつもりで」と、最多勝での賞金王を狙う。同時に「最大の目標は来年のマスターズ」とも。「賞金王になったから出られるとは限らない」。まずは26日時点で68位の世界ランクを、年末時点で50位以内にしたい。そのために日本ツアー終了後も、タイ選手権に出るという。この日のプレーを「ショットは一流でしたけど、パットが三流でした」と照れ笑いで振り返り、目標達成のための課題にパットを挙げた。【岡田美奈】