反政府デモが続くペルシャ湾の島国バーレーンで、サルマン皇太子が野党勢力との対話に乗り出したのは、同国で3月11~13日に予定される自動車F1シリーズ、バーレーン・グランプリを無事に開催するためとの臆測が、デモ隊の間に生まれている。AP通信が20日、伝えた。

 F1シリーズの最高実力者、バーニー・エクレストン氏は17日、「23日までに状況が沈静化しなければ、恐らく中止することになるだろう」と発言。皇太子は19日に首都マナマ中心部の真珠広場などから軍を撤退させ、野党との対話に乗り出していた。

 デモ隊のムハンマド・ニマさん(38)は「皇太子にとってF1は国民の血より大事なのさ」と批判。ハサン・ダニさん(23)は「F1は皇太子の夢だから対話を望んだ」と主張、「F1は好きだけど、われわれの要求はレースより大事」として、デモ継続を訴えている。

 バーレーンで予定されていたF1シリーズの下部レース、GP2シリーズは17日、デモの影響で中止となった。