【グロスター(英国)11日=岡崎悠利】19年ラグビーW杯の開催国として、日本が公平性ある競技日程を主張する。W杯イングランド大会を戦った日本代表は1次リーグ敗退が決定。初戦の南アフリカ戦から中3日で臨んだスコットランド戦での敗戦が響いた。強豪国に有利とみられる競技日程を改善すべく、日本代表の稲垣純一チームディレクターは、統括団体のワールドラグビー(WR)に意見を出す考えを示した。

 過去のW杯に比べ、今大会の日程は公平性は増している。ニュージーランドなど優勝候補も、1次リーグでは中3日での試合がある。ただし、強国とそれ以外では格差がある。例えば日本は南ア戦後、中3日でスコットランド戦だったが、南アはスコットランド戦後はB組で世界ランク最下位の米国戦だった。試合の間隔は比較的平等になったものの、強度はいまだに「ティア1」と呼ばれる強豪国に有利な状態だ。

 日本代表の稲垣チームディレクターは「チーム、また次回の開催国として、そういう(改善を求める)意見は出そうと思う」と話した。大会後に統括団体のWRで会議がある。意見を出し、議論のきっかけを作る方向だ。稲垣氏は「最後はWRが判断すること」としつつ、現行制度の改善を望んだ。

 そもそも中3日は稲垣氏が「全チームがNOと言うでしょう」と苦笑いするほど厳しい日程。選手層が厚い強豪国は格下相手に主力組を休ませるが、毎試合全力を出さなければならない日本のようなチームは、明らかに消耗する。稲垣氏は「選手のケガなど安全面で見ても、(中3日は)どうなんだろうという思いはある」と指摘した。

 開催期間が長引くことやそれによる経済的負担の増加など、改善へ課題は多い。ただ、B組で唯一、南アに勝利しながらベスト8を断たれた「ティア2」の日本の声は、影響力が高まっている。母国開催で目指す悲願のベスト8はまず、戦う前から背負う格差をなくすところから始まる。

 ◆今大会の日程と組み合わせ 12年12月3日にロンドンで組み合わせ抽せんが行われ、予選を免除された開催国イングランドを含める前回大会の上位12位以内のチームが、同2日時点での世界ランキングをもとに4組に振り分けられた。そこに予選を勝ち抜いた8チームがそれぞれ2チームずつ入った。また、ラグビー15年W杯イングランド大会組織委員会が大会日程を決定し、13年5月2日に発表した。

<各組の日程は…>

 ◆A組 開催国のイングランドは、中7日が1度と中6日が2度という最もゆとりのある日程が組まれた。結局は1次リーグで敗退したが、中3日の試合が1度ずつあったオーストラリア、ウルグアイより有利だった。ウェールズは中5、4、8日の日程で決勝トーナメントに進出した。

 ◆C組 中3日での試合はニュージーランドが1試合、ナミビアが1試合と組全体で2試合だった。それ以外では、トンガが中9日の後に中4日が2度続くなど、1次リーグ終盤にかけて過酷な日程を強いられた。今大会は欧州で開催されているからか、A組のオーストラリア、B組の南ア、C組のニュージーランドと、欧州以外の世界トップ3がいずれも中3日の日程を強いられた。

 ◆D組 アイルランドは、初戦から、すべて中6日以上という優位な日程が組まれた。「ティア1」のアイルランド、フランス、イタリアは、中3日での直接対決はなし。フランスだけが中3日を経験したが、相手はルーマニアだった。これに対して、ルーマニアは中3日と中4日が1試合。カナダは中4日が2試合組み込まれた。