女子は2季ぶりにW杯個人総合を制した高梨沙羅(19=クラレ)が、2回合計248・0点で凱旋(がいせん)Vを果たした。1回目94・5メートルで首位に立つと、2回目は最長不倒の95メートルを飛び、ただ1人K点越えをそろえ圧勝。今季W杯17戦14勝と圧倒的な強さを見せた沙羅ちゃんが、地元札幌での帰国初戦で女王を演じきった。成年男子は小林潤志郎(雪印メグミルク)が優勝。距離クラシカルの男子(10キロ)は吉田圭伸(自衛隊)、女子(5キロ)は大林千沙(マズシャスジャパン)が制した。

 高梨が、女王として迎えた凱旋試合で圧倒的な存在感を放った。1回目に94・5メートルで首位に立ち、2回目は粉雪が降り風が目まぐるしく変わる悪条件だったが、95メートルまで飛距離を伸ばし、あっさり指定席に座った。「1、2回ともまずまず。日本に帰ってきて初めて見てもらうので変な失敗はできないと思った」と満足げに話した。

 中止になった5、6日のW杯2戦の代替開催を国際連盟が断念し、今季のW杯は終了。6日のラージヒルと合わせ、今大会がラストとなる。「集大成を見せられれば」と意気込んだ。

 11日で東日本大震災から5年。当時、数時間前まで仙台空港にいたこともあり、頭から離れることはない。「今、好きなジャンプが飛べるのも日本のみんなが支えてくれているからこそ。勇気と元気を与えられれば」と女王としての責任を胸に、世界に挑み続ける。