国際オリンピック委員会(IOC)は17日、韓国・平昌で理事会を開き、20年東京五輪の野球・ソフトボールの一部試合を福島県で開催する計画について、大会組織委員会が提案した県営あづま球場(福島市)を会場とすることを全会一致で決めた。東日本大震災の復興支援を後押しする。

 森喜朗会長は「おそらく(1次リーグの)開幕試合になるだろう。この五輪は復興ニッポンという大きなタイトルからスタートした」と述べた。

 組織委は、既に承認されていた主会場の横浜スタジアムに加え、改修を前提として、あづま球場に絞って調整していた。開成山球場(郡山市)といわきグリーンスタジアム(いわき市)との選択だったが、関係者によると東京電力福島第1原発事故により皮肉にも「フクシマ」が世界に広まり、同じ名の付く福島市で開催することで、復興を発信しやすくなるとの狙いもあった。

 一方、大会方式は1次リーグの出場6チームを2組に分けて実施する組織委案に対し、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は試合数を増やすため総当たりを要望して交渉が難航している。武藤敏郎事務総長は「大会方式はIOC理事会の承認事項ではないので、WBSCと協議を継続したい」と語った。

 ◆福島県営あづま球場 1986年(昭61)開場。福島市のあづま総合運動公園に含まれる。名称は西の方向に吾妻(あづま)連峰を望むことから。3万人収容。両翼100メートル、中堅122メートル。内野はクレー舗装、外野は天然芝。プロ野球公式戦で使用可能。