世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が、同6位のペトラ・クビトバ(チェコ)を7-6、5-7、6-4で制し、男女を通じて日本人初の全豪シングルス女王の快挙を達成した。28日発表予定の最新世界ランキングで、アジア初のシングルス世界1位も確定した。

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大坂なおみが、ここまでの進歩を遂げた陰には、18年から就任したアブドゥル・シラー・トレーニング担当(43)の存在がある。

シラー氏は、3年間、S・ウィリアムズ(米国)のトレーニングを担当、17年全米優勝のスティーブンス(米国)も手がけた優勝請負人だ。

17年末のオフシーズン、初めてシラー氏が大坂を見たとき感じたのは「動きが遅い」だった。ただ、「女王になる資質があった。それは彼女がそうのぞんでいたからだ」。そして、スピードをつけることを重視して始めたのは「恐ろしく厳しいトレーニング」だった。

詳細は「自分は陰の存在。それに企業秘密」と、シラー氏は多くを語らない。ただ、17年末で7キロ、18年末で3キロの減量に成功した大坂の体が、その激しさを物語っている。「アメフトのNFL選手の俊敏さ、短距離走者のスピード、サッカー選手の持久力を併せ持った大坂を作り上げたい」。

シラー氏がのぞむ最高の選手は「フェデラーのような熟練で、ジョコビッチのような安定性、そしてナダルのような攻撃性を持つ選手」だ。そのためにも「彼女はもっと高いミッションを希望している」。大坂は、ブリスベン国際で「もっと筋肉質になりたい」と話しており、アスリートとしての最高の体作りが、女王への大きな要因だった。