<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇最終日◇13日◇福岡国際センター◇男子100キロ超級

 鈴木桂治(31=国士舘大教)の闘いが、終わった。傷だらけの体でも、最後まで五輪を目指した。右肩には痛み止めの注射を打った。テーピングもきつく巻いた。激痛は走る。それでも下がらず、前に出た。だが、技は出なかった。19歳の王子谷剛志(東海大)に旗判定で1-2。3大会連続の五輪は散った。「この2週間の中で、一番充実した1日でした」。悔し涙を何度もぬぐって、毅然(きぜん)と言った。

 4月の全日本選手権で右肩を脱臼した。完治するには手術が必要。だが、試合をあきらめるという選択肢は、毛頭なかった。周囲にも励まされた。逃げずに畳の上に立った。そして、敗れた。「五輪を目指すのはもう無理だと思う。この体で戦ったのは僕の運命なので、逆らえない」。アテネで金メダルの栄光を獲得し、北京で初戦敗退の屈辱を味わった柔道家が、第一線から退く日を迎えた。