<全国高校総体:水泳>◇最終日◇20日◇競泳、飛び込みほか◇埼玉・川口市青木町公園総合運動場プール

 男子高飛び込みで大久保貴明(芥田学園3年)が、446・20点で銅メダルを獲得した。12人の決勝に予選10位で進み、安定した演技で得点を重ねた。飛び込みの静岡県勢メダルは、04年2位の内藤有美(芥田学園)以来。同種目では02年3位の山下大輔(興誠)以来、6年ぶりのメダルとなった。

 気持ちの良い銅メダルだった。大久保は、表彰台の上で喜びを実感した。「いい眺めですね。1番上はもっといい眺めなんだろうけど、3位も良いですね」。自身全国初のメダルの喜びに、いつまでも浸っていた。

 平常心が生きた。予選は「気持ちが先行して自滅しかけた」と10位。だが、決勝は「人は人。自分だけを見た」。2回目の前宙返り1回半ひねりえび型で高得点を挙げ、1度は首位に立つ。8位まで順位を下げても集中力は切れない。周囲が失敗する中、崩れることなく8回目で3位に浮上。そのまま、逃げ切った。

 小学1年夏、偶然参加した体験教室で「怖いけど面白い」と、はまった飛び込み。高1の全国総体で6位入賞して、周囲の期待は高まった。だが、迎えた2年は緊張に弱い性格が災いして予選落ち。内藤未妃コーチ(25)はこの1年、その性格改善に着手した。

 昨年より20本も練習量が増え、良い演技ができるまで続けた。そのまま、借りたプールの営業が終わったこともあった。「緊張を忘れるくらい、疲れさせた」と同コーチ。練習でつかんだ自信が、本番で生きた。「高校3年間が詰まったメダルは重い。次は国際大会で取りたい」。最後は、表彰台の2段上を見ていた。【今村健人】