日本の体操界を支えたエース、冨田洋之(27=セントラルスポーツ)が今年限りで現役を引退することが8日、分かった。10日に会見を開き、発表する。北京五輪後は「ゆっくり(先のことは)考えたい」と話し、大会を欠場してきた。しかし、慢性的な肉体疲労などで12年のロンドン五輪を目指す意欲がわかず、引退を決めた。

 6種目を兼ね備えたオールラウンダー。何より、日本の伝統である体の線の「美しい」体操を受け継ぐ最後のとりでだった。「美しくなければ体操ではない。派手だけならアクロバット」が信条。国際体操連盟が日本選手初の「エレガンス賞」を贈るなど、その美しい体操で、04年アテネ五輪団体で28年ぶりに日本に金メダルをもたらす原動力となった。しかし、その後、大技を加点する規則変更に伴い、日本の美しい体操に対する採点が辛くなった。北京五輪では団体で銀メダルを死守したが、冨田は個人総合で4位に終わった。

 今月、小さい時から一緒に体操を続けてきた鹿島丈博(28)が引退を発表した。相談を受けた時、冨田は「おれもそうなるかも」と話していたという。今後は指導者を目指す予定で、15日に始まる豊田国際競技会が国内最後の大会になる予定だ。世界ランクで出場が決まった場合は、12月のW杯決勝大会(マドリード)に出場する。