フリースタイルスキー・モーグルの長野五輪金メダリスト、里谷多英(32=フジテレビ)が、約1年ぶりにW杯日本代表に復帰することが分かった。北米での4試合を終えて21日、成田空港に帰国。帯同した全日本スキー連盟モーグル担当の切久保コーチが「代表復帰が内定した」と明かした。10年バンクーバー五輪出場にはW杯の実績が重要だけに、5大会連続の五輪出場へ第一関門を突破したことになる。早ければ今月末にも代表組に合流する。

 今回の遠征ではW杯より格下の北米杯4試合に出場した。大会にはW杯と開催時期が重ならなかったこともあって各国のW杯代表クラスが大挙出場。「3位以内ならW杯に戻れると言われていた。3位に入らなかったら(現役を)辞める覚悟だった」と、背水の陣で臨んだ里谷は、11日が3位、12日が7位と上位に進出した。インフルエンザとみられる熱を伴う体調不良のため、後半の2試合は18位、15位と振るわなかったが、世界と戦えることを十分に証明した。

 首や腰痛の影響で、06年トリノ五輪後のW杯出場は国内の1試合だけに終わっていたが、今季は夏場のトレーニングから順調。切久保コーチは「レベルの高い中での3位は価値がある。長野五輪よりもターンはうまくなった」と評価している。もともと世界一と評されるターンが、ルール改正によって今季から得点の75%を占めることになるなど追い風も吹く。里谷は「エアで成功すれば3番に入ることも証明できた。(3月の)世界選手権をステップに、五輪にピークを持っていきたい」と、自信に満ちあふれた表情で、復活の青写真を描いていた。【高田文太】