<競泳:ジャパンオープン>◇初日◇5日◇東京・辰巳国際水泳場

 男子100メートル背泳ぎで入江陵介(19=近大)は、「許可水着」で自身が持つ日本記録52秒56を更新できなかった。同200メートルで世界記録を上回るタイムを出した5月の日豪対抗で着用したデサント社製水着が国際水連に許可されず、この日は英スピード社レーザー・レーサー(LZR)を着用して出場。優勝したもののタイムは53秒31にとどまった。もっとも現在は世界選手権(7月26日開幕、ローマ)に向けた合宿中で、疲労もあり、本人も結果は気にしていない。五輪2大会連続2冠の北島康介の助言も受けて、6日に行われる得意の同200メートルで世界新記録に再挑戦する。

 期待を一身に集めた入江は、ゴール後に電光掲示板を見つめながら渋い表情を見せた。ピアソル(米国)が持つ世界記録52秒54に0秒77及ばない53秒31。優勝しても不満そうだった。この種目は日本選手権でも優勝が1度もないが、5月の日豪対抗で世界記録に0秒02と迫る52秒56をマークしていた。現在はスピード練習移行前に加え、合宿の疲労があったが。それでも「52秒台半ばを狙っていたので残念」と唇をかんだ。

 日豪対抗の200メートルで世界記録を上回ったが、着用したデサント製の水着が国際水連に認可されなかった。入江は「水着のことばかりが話題になり、選手の頑張りを分かってもらえない」と何度となく話していた。今大会は早々と国際水連の認可水着で出場すると宣言。幻に終わる可能性のある世界新樹立後、最初のレースの今大会にかけていた。だから100メートルとはいえ、日豪対抗のタイムを超えられなかったことが悔しかった。

 5月末に都内で日本代表合宿が始まるまでの約1週間は、心労で練習に身が入らなかった。本来は2時間の練習予定を1時間で切り上げる毎日。道浦コーチは「フォームが崩れていた」と振り返り、悪癖がつかないよう自由形で調整。体力維持に努めるのに必死だった。今月2日、都内の合宿地を訪れた北島から「タイムじゃなく世界大会で結果を出す面白さを覚えれば、もっと伸びていく」と助言された。水着問題で「自分を見失っていた」(入江)ことに気づかされた。「速い選手ではなく強い選手になることが目標」と考えを変えた。

 世界選手権や五輪の金メダルを狙いたい。今は本気でそう思うようになった。北京五輪で体調を崩し、200メートル5位となるなど重圧に弱かった「ガラスのエース」の姿はもうない。【高田文太】