<柔道:全日本女子選手権>◇18日◇横浜文化体育館◇無差別級

 日本女子最重量級エースの塚田真希(28=綜合警備保障)が「世界の山下」と並ぶ9連覇に到達した。決勝で2週間前の選抜体重別選手権で敗れた杉本美香に豪快な大外刈りで1本勝ち。自ら進退をかけて臨んだ一戦を制し、ロサンゼルス五輪男子無差別級金メダルの山下泰裕氏が樹立した全日本選手権9連覇に並んだ。9月東京開催の世界選手権の78キロ超級と無差別級の代表に杉本とともに選出された。無差別級は田知本愛も選出され、3人のうち2人が出場する。

 塚田は9連覇という数字より、今回の優勝に柔道人生をかけていた。だから優勝インタビューで涙が込み上げた。「納得いく試合ができなかったら、今後のことを考えようと思っていた」。2週間前の選抜体重別で2年連続で杉本に決勝戦敗退。かつて日本人に6年間無敗だった無敵の姿は、もはやなかった。「あんな柔道では相手に失礼。(進退をかける)そのつもりじゃないと世界選手権の権利は勝ち取れない」。12歳で柔道を始めてから引退をかけたのは初めてだった。

 決勝では杉本に押し込まれた。自分の組み手に持ち込めず、指導も受けた。2分10秒での内または体をつぶして逃れたが、ヒヤリとするシーンだった。だが次の攻防で勝機を見いだした。2分27秒、大外刈りを仕掛け、抵抗する相手をパワーで1本勝ちに持ち込んだ。ガッツポーズも出た。雄たけびも上げた。進退をかけた一戦を乗り越えた。

 母校東海大OBの山下氏も見守っていた。男女の違いこそあるが、同氏と並ぶ全日本での9連覇。「山下先生には『気迫ある試合を見せろ』と言われていた。試合後、力強い握手をされて、ものすごく期待してくれていたと感じた」。記録には「ピンと来ない」と話したが、同氏の喜びぶりに偉業の重さを実感した。

 9連覇にも代表首脳陣の目は厳しかった。女子代表の園田監督は「本当に追い込んで練習しているのか。よっぽど気持ちを切り替えないと、世界を目標に戦えない」と酷評した。

 だが塚田は、周囲の指摘を力に変えてきた。選抜体重別後も、かつてのライバル薪谷翠氏から「途中でフッと抜けていた」と言われ「厳しく言われることが減っていたのでよかった」と、素直に受け入れた。

 04年アテネ五輪では勝ったが、世界選手権での78キロ超級の栄冠はない。「表彰台の真ん中に立ちたい」。頂点を目指す塚田の柔道人生は終わらない。【広重竜太郎】