<高校総体:柔道>◇10日◇沖縄県立奥武山総合運動場武道館◇男子100キロ超級決勝

 柔道男子100キロ超級で東海大相模(神奈川)・王子谷剛志(3年)が、初優勝を飾った。将来日本伝統階級を担うホープが実力を発揮し、準決勝まですべて1本勝ち。決勝では中学時代に全国大会で敗れた東京都内有数の進学校、戸山・田上創(3年)に雪辱した。

 日本柔道界の次世代を担う期待の星が、華々しく優勝を飾った。王子谷は1回戦から準決勝までの5試合で、すべて1本勝ち。2回戦はわずか開始31秒で袖釣り込み腰を決め、3回戦から準決勝は四方固めで突破。試合時間はすべて2分以内に抑える圧勝で、ジュニア強化指定(20歳以下)選手の本領を発揮した。

 決勝戦は、中学3年時の全国大会準決勝の再戦だった。当時は判定で敗れた田上に、「何が何でも、どんな勝ち方でも勝つ」と闘志を燃やした。身長で5センチ上回る田上の奥襟を果敢につかんで、4分間攻め続けた。1本勝ちはできなかったが、優勢での勝利。「どうにか崩してやろうと。攻めていけた」と胸を張った。

 原動力は「強くなって支えてくれた人に恩返しがしたい」という思いだ。9日、国士舘との団体戦決勝。エース王子谷は0-0で迎えた中堅で登場したが、まさかの敗退。そのまま0-3で敗れ、史上2校目の3連覇を逃した。落ち込んで宿舎に帰ると、高橋洋樹監督に「個人で優勝し沖縄から笑って帰ろう」と声をかけられ、リベンジの思いを強くした。

 100キロ超級は、08年北京五輪で石井慧が優勝するなど日本伝統のクラス。今年4月の全日本選抜体重別選手権では鈴木桂治が優勝を飾ったが、ベテランの世代。石井もプロ格闘家へ転身し、若手の台頭が期待されている。高橋監督は「プレッシャーを乗り越えて成長した。初優勝し、いい方向に自信が出てくる」と太鼓判を押す。今後は東海大に進学する予定で、「五輪までいけたら」と世界へ視線を向けた。【保坂恭子】