<フィギュアスケート:GPファイナル>◇12日◇中国・北京

 フィギュアスケートGPファイナルで銅メダルを獲得した村上佳菜子(16=中京大中京高)が必殺ジャンプ作りに着手する。この日は午前練習でGPシリーズで試していない3回転フリップ-3回転トーループをテスト。午後のエキシビションでは前夜のフリー演技で失敗した3回転フリップに挑んだ。今季急成長を遂げているが、代名詞となる高得点ジャンプを探究する。

 村上は10代メダリストという快挙達成から一夜明けたこの日も、好奇心旺盛に跳んでいた。午前練習では薄暗いリンクで3回転フリップ-3回転トーループに挑戦。今季初戦の中部選手権で挑んだが失敗し、その後は難易度を落とした連続3回転トーループに切り替えていた。「フリップ-トーループはやってみたいので」。基礎点で1・2点高い連続ジャンプへの挑戦は向上心の表れだった。

 村上の技術力は高い。ジャンプは躍動感にあふれ、表現力も豊かだ。だが浅田真央のトリプルアクセル、金妍児の高難度な3回転ルッツ-3回転トーループの連続ジャンプのような代名詞的な武器はまだ持っていない。

 「最初のころに比べるとジャンプの確率が上がってきた。(山田)先生からはミスをしないように言われている」と言うように今は完成度を重視している。山田コーチも「全日本選手権(24日開幕、長野)ではフリップ-トーループの連続ジャンプはやらない」と明言。だが将来的には浅田、金妍児のように1種類のジャンプで出来栄え点も含めて10点以上を量産する必殺ジャンプを見据えている。

 ジャンプの研究はずっと重ねている。小学校高学年時はトリプルアクセルに取り組んでいた。「今もオフの時はたまにやります」。また昨年の誕生日プレゼントとして山田コーチからもらったパソコンには名ジャンパーの動画を取り入れて見ている。「真央ちゃんと金妍児や、高橋選手、同じ年のゆづ(羽生結弦)のを見ている。男子のは迫力があるので参考になる」と一流から学ぼうとする意識は高い。

 今回の銅メダルで来年3月の世界選手権出場へ大きく前進した。「世界選手権は出たいな~。でも今は終わったばかりなので、まずは全日本選手権を頑張ります」。村上は未来に向けた武器作りも、間近に迫った世界選手権の切符獲得も、追い求めている。【広重竜太郎】