昨夏の世界選手権金メダルの北口榛花(26=JAL)が、今季自己ベストの63メートル45で優勝した。

2位で迎えた最終6投目の試技で逆転。修正力の高さが光り、昨年7月から10連勝を飾った。

昨年の世界選手権銀メダルのフルタド(コロンビア)、銅メダルのリトル(オーストラリア)らとのメダリスト対決を制し、今夏のパリオリンピック(五輪)へ弾みをつけた。

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やはり6投目だった。

北口は5投目に62メートル02をマークし、1位のフルタドと4センチ差で最終投てきへ。「いつも通りの最後」と気合を入れた。

約2万人の観衆の手拍子に乗り、しなやかな動きからやりを放つ。大きな弧を描き、今季初めて63メートルを超えた。昨年7月から10連勝となり、そのうち6投目でのベストは8度目となった。

「いつも『最後だから』と思って一生懸命投げるんです」

そのほほ笑みの裏には、修正力の高さがある。

連勝発進を切った今季は、筋力トレーニングの影響もあり、体の硬さが気になっていた。本来は体の柔らかさを生かした投てきが武器。結果を残している中でも、冷静に自分の強みを見つめ直した。

「自分は柔らかい体じゃないと練習をしたいと思えない。自分が動かしたい体で試合に臨みたい」

自らコーチに直訴し、体のコンディションを重視した練習を志願。「(体は)全く動かなくて板のようだったが、柔らかい板に変わってきた」と上半身のひねりに手応えを得た。その調整が奏功し、勝負どころでの逆転劇につなげた。

パリの前哨戦を制したが、結果自体には満足していない。昨夏の世界選手権は63メートル38がメダルライン。「63メートルではまだ足りない。65メートルに乗せられるようにしていきたい。この記録ではメダルに届かない」と慢心はない。

今後は拠点とするチェコへ戻り、欧州で試合に出場する。五輪開幕まで約2カ月となった。

「準備をして、メダルを取って帰れるようにしたい」

会心の一投を目指し、試行錯誤を繰り返していく。【藤塚大輔】