<卓球:世界選手権団体戦>◇初日◇25日◇1次リーグC組◇ドイツ・ドルトムント

 【ドルトムント(ドイツ)=今村健人】29年ぶりの決勝進出を目指す日本女子が、北京五輪で苦戦した難敵スペインを3-1で下して白星スタートを切った。1番手で出場したエース福原愛(23=ANA)がストレート勝ちで勢いをつけ、続く石川佳純(19=全農)は相手エースのシェン・ヤンフェイに惜敗したものの、平野早矢香(27)がつなぎ、最後は石川が勝った。

 エースのプレーが、言葉が、そしてしぐさ1つ1つが、日本を好スタートに導いた。村上監督が「一番大事なポイント」と位置付けていたスペインを3-1で下して、白星発進。福原は「直前にアジア選手権の団体戦があったので、そこまで緊張しなかった」と、柔和な表情で振り返った。

 チームランク3位の日本に対し、スペインは13位。とはいえ中国出身の選手を2人擁し、北京五輪では5試合目までもつれた。その緊張のスタートで、1番手に登場したエースは相手を寄せつけなかった。第1ゲームを11-5で奪い、一気に終えた。「昔はトップが苦手で、1ゲーム目を落とすことが多かったのに」と村上監督。福原も「(私にしては)珍しいですね」と舌を出した。気迫のこもったプレーで勢いに乗せた。

 前日24日は平野の27歳の誕生日。日本からこっそりろうそくを持ち込み、ケーキまで用意した。残念ながら2人のタイミングが合わずに祝福できず「まだ『おめでとう』もきちんと言っていないので、薄情者と思われているかも」と苦笑いしたが、初戦を前に団結を強めるには、十分な役目を果たしていた。

 自分の試合後は、ベンチで応援した。第2試合で相手エースのシェンに苦戦する石川には0-2となった後、身ぶり手ぶりでアドバイスを送った。敗れはしたが、フルゲームまで巻き返させた。その勢いが、続く平野につながった。「ここで波に乗れるかが重要だった。これからも気を抜かずに行きます」。チームを導くその姿は貫禄十分だった。

 ◆北京五輪の日本女子対スペイン

 1次リーグ2試合目で対戦。第1試合で世界ランク12位の福原が同33位のシェン・ヤンフェイに2-3で敗れると、2勝1敗で迎えた第4試合では福岡が再びシェンに2-3で惜敗。最終試合でも福原がドボラクに苦戦したが、3-2で勝ってなんとか勝利を挙げた。

 ◆大会方式

 1次リーグは男女ともに6チームずつ4組に分かれて争われ、各組上位3チームが決勝トーナメントに進む。試合方式はダブルスが含まれる五輪団体と異なり、3人でシングルス5試合を戦う。