<ホッケー:ロンドン五輪世界最終予選・日本1-2南アフリカ>◇最終日◇6日◇男子決勝◇岐阜県グリーンスタジアム

 「さむらいジャパン」の44年ぶりの五輪は夢に終わった。世界ランク15位の日本男子は同12位南アフリカに1-2で敗れ、ロンドン五輪の出場権を逃した。0-2の後半29分にFW北里謙治(22=ALDER飯能)の得点で1点差としたが、猛攻及ばず。68年メキシコ大会以来の五輪出場と、5日に3大会連続出場を決めた女子と初の「アベック出場」はならなかった。若手の成長と改革意識が芽生えているだけに、4年後こそ重い扉をこじ開ける。

 「さむらい」が最後に力尽きた。無情のホーンが鳴るとイレブンはひざまずき、うなだれた。2点を追う残り10分からの猛攻。ラスト2分を切るとGKを下げて「全員攻撃」を仕掛けたが、同点ゴールは遠かった。MF川上主将は「熱い気持ちで戦いましたが…44年ぶりの夢を達成できず、残念で申し訳なく思います」と声を詰まらせた。

 世界の強さを見せつけられた。後半9分にアフリカ王者の個人技でDF4人とGKがかわされ、先制された。緊張感が緩んだ10分後には2点目を許す。姜建旭(カン・ゴンウク)監督(40)は「素晴らしい戦いをしたが、国際的な試合経験が少なかった」。相手の素早いプレスに5度のペナルティーコーナーを生かせず、点差以上の完敗だった。

 悲願達成へ動いた4年間だった。岐阜県グリーンスタジアムがある各務原市で、廃校の校舎を男女代表合宿所として活用。冷めた弁当は業者が温かい食事を準備するようになり、雑魚寝はベッドに変わった。トレーニング器具も一新し、阪神金本らを指導する「アスリート」平岡代表の指導で肉体改造。限られた資金の中で海外遠征も増やした。

 09年4月には初の外国人監督となるアイクマン氏(オランダ)を招いた。昨年3月には韓国人の姜監督が就任。世界的指導者から教わり、川上主将は「正直、これまで知らなかったことを2人は教えてくれた。次世代につなげないといけない」と成長を感じた。

 その姜監督も今大会限りでの退任が濃厚だ。24歳のFW坂本と田中、MF穴井に、この日得点した22歳北里と若手は成長している。川上主将は「ここからの4年間をどう過ごすか。歴史は変えないといけない」とリオの舞台を目指し固く口を結んだ。開きそうで開かなかった重い扉。リオ五輪での「48年ぶり」実現のために、「さむらい」は刀を磨いていく。【近間康隆】