ロンドン五輪で史上初の金メダルゼロに終わった柔道の男子日本代表監督に、00年シドニー五輪男子100キロ級金メダルの井上康生氏(34)が就任することが10月31日、全柔連関係者の話で分かった。篠原信一監督の続投方針から急転。井上新監督の下で、16年リオデジャネイロ五輪へ船出を切ることとなった。5日にも会見する。女子の園田隆二監督は留任する見通し。

 男子代表の監督人事が急転した。北京五輪後から指揮を執る篠原監督はロンドンが初めての五輪ということもあって、吉村和郎前強化委員長(1日から強化担当理事)はリオ五輪までの続投を支持し、同監督も意欲を見せていた。

 だが、10月20日の理事会で任命された斉藤仁新強化委員長は「1度、フラットに考える」と白紙を強調。歴史的惨敗に危機感を覚える周囲の声もあり、全柔連上層部も急転、交代を決断した。ブラジルの世界団体から帰国した斉藤新強化委員長はこの日「ぶれない強化の骨格を決めて、それに見合う人選を進めている」と話した。

 北京五輪代表を逃して08年5月に引退した井上氏は、2年間の英国コーチ留学を経て、11年に男子代表コーチと東海大柔道部副監督に就任した。シドニー五輪の金メダルとアテネ五輪での惨敗。栄光と挫折の経験を元にした同氏の熱い指導に慕う選手は多く、誠実な人柄でコーチ陣の人望も厚いことから昇格が決まった。ロンドン五輪で歴史的な敗北を味わった日本男子。再建の命運は、若き指導者に託されることとなる。