ソチ五輪出場一番乗りを果たした女子アイスホッケー日本代表に「1億円の現ナマ」が贈られる。強化費1億円の寄付を公言していた日本アイスホッケー連盟のスポンサーで美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長(68)は19日、来月にも都内で贈呈式を行うプランを明かした。1億円は銀行振り込みや小切手にはせず、現金で選手に渡す。アルバイトと競技を両立する選手に、大金の現実感を持たせ、やる気を起こさせる考えだ。今後、日本連盟と相談し、贈呈式の日程を決める。

 高さ約1メートルに積み上がった「福沢諭吉」が、目の前に置かれる。重さが約11キロになる現ナマは来年2月のソチ五輪の強化費になる1億円。来月にも予定される贈呈式で、女子アイスホッケー日本代表の選手たちは、生まれて初めて見る光景に度肝を抜かれるに違いない。

 品がないとの批判が出る可能性も高いが、決して成り金趣味ではない。1億円を寄付する「高須クリニック」の高須院長には選手を鼓舞するとの狙いがある。銀行振り込みや小切手で渡さず、現金を積むことで、選手に大金の現実感を持たせるという。「1億円を置いて“君たちが使っていいんだよ”となれば、選手もやる気が増すでしょう」と説明した。

 一般的なサラリーマンの給与が銀行振り込みになって久しい。現金支給より、お金をもらっている感覚が希薄になったことは間違いない。環境に恵まれない選手たちは時給1000円以下でピザ配達、受付、居酒屋などでアルバイトをこなす。倹約して競技一筋に懸けている。そんな選手たちが、大金を目の前にすれば、だれよりも感謝の念がうまれ、ソチへの士気も高まるはずだ。

 今後は高須氏と日本連盟の話し合いで、1億円の贈呈式の日程を決める。日本連盟は、例年の5倍以上になる強化費をどう活用するかを徹底議論し、海外合宿、プレ五輪の開催など、メダル獲得に向けた特別強化体制を整える。高須氏も今春にもオンエアされる「高須クリニック」のテレビCMに日本代表選手を起用。お金とともに女子アイスホッケーの認知度アップに貢献していく。

 ◆女子アイスホッケー日本代表の今後

 11日の帰国後、いったん解散。選手は所属チームに戻り、各チームで全日本選手権(3月7日開幕、北海道帯広市)に臨む。3月下旬には北海道と東京で世界選手権(4月7日開幕、ノルウェー)に向けた強化合宿を予定している。

 [2013年2月20日8時27分

 紙面から]日刊スポーツのオススメ