<バレーボール:ロンドン五輪世界最終予選兼アジア予選女子大会>◇5日目◇25日◇東京体育館
「火の鳥ニッポン」が3大会連続の五輪出場へ王手をかけた。世界ランク3位の日本は同10位キューバを3-2のフルセットで下し、勝ち点を11に伸ばした。相手の強打に苦しみながら、第2セット途中から出場した迫田さおり(24=東レ)が活躍。ジャンプ力を生かしたキレのあるスパイクで日本の危機を救った。日本はきょう26日、ロシアに勝てば無条件で五輪切符を手にする。ロシアは開幕5連勝で五輪出場を決めた。
「カリブの鳥人軍団」に挑んだのは、「火の鳥の鳥人」だった。迫田が日本のピンチを救った。滞空時間の長いジャンプで左から、後ろから、次々とスパイクを打ち込む。負ければ崖っぷちへ追い込まれた2時間の熱戦。苦しみながら五輪切符に手をかけると、ヒロインはニッコリ笑った。
迫田
とにかく決めたいという気持ちだけでした。途中から出て、流れを変えるのが自分の役目。ボールをくれるのは本当にありがたいし、最後は自分のところに来る気持ちでいました。チームに貢献できて本当に良かったです。
どんよりムードを切り裂いた。第1セット(S)を8連続得点で何とか奪い、迎えた第2S。14-19の場面で投入された。「韓国戦までは自分の入りが遅かった。早く、早くと言い聞かせた」。動きだしを早めに修正。身長175センチでも、最高到達点は185センチのエース木村を1センチ超える305センチ。第5Sの14-14と15-15、大詰めで決めたバックアタックは計10本。思い切りのいいスパイク19本でチーム最多20得点を奪い、真鍋監督を「迫田がチームを救った」と喜ばせた。
強い決意がある。この春、母校の鹿児島西高が“なくなった”。高校再編により甲陵高と統合され、新しく「明桜館高」に生まれ変わった。3月2日には閉校式があり「自分の高校がなくなるのは、とても寂しい。でも自分が頑張って西高の名前が出れば、うれしく思う卒業生がいるかもしれない。西高と一緒になった学校のOBも喜んでくれるかも」。
中学では強豪チームで活躍した。それでも「バレーが嫌になりそうだった」と県立の「普通の学校」でのびのびとプレーした。今でも「桜島を見るとホッとする」という“薩摩おごじょ”の大活躍。今日26日には鹿児島市内で同高同窓会が開かれるだけに、実行委員会担当者は「迫田さんの話題で盛り上がることは間違いないですよ」と声を弾ませた。
ロシアに勝つか、2-3で敗れても韓国対タイがストレートで決着がつけば、3大会連続の五輪が決まる。「この勢いを持って全員でロシアにぶつかりたい」と真鍋監督。迫田や新鍋、平井の控えが一体となり、日本も勢いづいた。「この1勝を、いい流れにしたい。残り2試合もチーム力で戦いたいです」と迫田。険しい道を進みながら、日本がロンドンの入り口までたどり着いた。【近間康隆】
◆迫田(さこた)さおり
1987年(昭62)12月18日、鹿児島市生まれ。愛称はリオ。姉の影響で谷山小3年からバレーを始め、鹿児島西高では県選抜として国体3位。高校選抜男女東西対抗戦に出場。06年に東レ入団。ポジションはウイングスパイカー。代表は10年4月に初選出され、10年世界選手権と昨年のW杯メンバー。175センチ、65キロ。最高到達点は305センチ。家族は両親と姉、弟2人。血液型A。


