<ラグビー・日本選手権:三洋電機59-3リコー>◇22日◇準決勝◇大阪・花園ラグビー場

 三洋電機が来季トップリーグ(TL)に昇格するリコーに59―3で完勝し、2連覇に王手をかけた。9トライを奪う猛攻で、守ってもノートライに抑えた。TL優勝の東芝が元所属選手のドーピング違反で出場辞退。不戦勝のサントリーと28日、日本一を懸けて2年連続で決勝戦(秩父宮)を争う。両チームの全国大会での決勝対決は4回目で、過去1勝1敗1分け。

 三洋電機は前半開始早々からリコーにゴール前に攻め込まれ、6分に先制PGを許した。しかし、リズムを崩さなかった。5分後、SO入江のキックにWTB三宅が鋭く反応してキャッチ。ボールを受けたCTB霜村が左中間に飛び込み、逆転した。以後、攻守に圧倒。日本選手権準決勝の最多得点を記録した。

 リコーは準々決勝でNECを破った。飯島監督はその勢いを警戒していた。「プレッシャーはあった。しかし、選手たちが冷静にプレーしてくれた」。CTB榎本主将は「しっかりした攻撃に1トライも許さなかった防御。自分たちのラグビーが100%できた」と満足げに振り返った。

 TLプレーオフ決勝で東芝に1トライも奪えず、敗れた。虚脱感は隠せなかったが、飯島監督が「我々は難しいことはやっていない。シンプルなことをどれだけやれるかです」と言うチームが原点に戻った。ラックの入り方、ワイド展開した時の選手の立つ位置など、基本を再度確認した。この日、2トライを挙げた日本代表の霜村は「高校や大学でやっているような基本の基本に一から取り組んだ」と話した。

 その東芝が日本選手権を出場辞退。雪辱のチャンスがなくなった。榎本主将は「悔しい気持ちは残る。でも決まったことはしようがない。気持ちの切り替えはできている」。2年連続の決勝対決となったサントリーには今季2連勝。「最も負けたくないチームの1つ。選手スカウトなどいろいろなものがうちとは対極にある」と飯島監督は対決姿勢を打ち出した。【三角和男】