横綱朝青龍(27=高砂)が28日、神経をすり減らす呉越同舟状態でモンゴルに帰国した。ライバルの横綱白鵬(23=宮城野)に加え、天敵の元小結旭鷲山ことダバー・バドバヤル氏までモンゴル直行便の同便になった。成田空港内では徹底的に2人を避け続けたが、機内では同じビジネスクラスで、至近距離の座席に。バドバヤル氏からは、朝青龍が実現へ心血を注いだモンゴル巡業(8月27、28日)について、政情不安の影響を指摘される揺さぶりを受け、不快指数満点の空へ飛び立った。

 名古屋場所を途中休場した朝青龍が、治療目的のモンゴルへの帰路で、思わぬ障害にぶつかった。午後3時40分、車が成田空港出発ロビー前にさしかかると、先に白鵬の車が止まっていた。夏場所千秋楽のにらみ合い以来、遺恨の続く相手だ。情報収集をかねて、マネジャーをチェックインに送ると、ロビーにはファンに囲まれる白鵬がいた。

 さらに国会議員に当選したばかりのバドバヤル氏が、報道陣相手にモンゴル巡業に横やりを入れるような内容の演説中だった。

 バドバヤル氏

 今から帰って、29日の国会審議に応じるかを民主党内で話し合うんだ。23日の国会も審議拒否で流れた。今回も流れると、また暴動にもなりかねない。相撲(の巡業)もどうなるか分からない。

 朝青龍は同氏の現役時代から対立していた。先場所中には同氏が、モンゴルの政情不安を巡業部に伝え、巡業の延期が検討された。その際、朝青龍は国内の平静を主張し、同氏を「あの野郎」呼ばわりして激怒した。今回もすぐにでも否定しに行きたかったが、今は休場直後の身。じっとこらえて、白鵬の車の5メートル前に止めた車の中にとどまった。15分以上待ち、2人の姿がロビーから消えたのを確認し、駆け込むように空港内に入った。

 朝青龍

 (左ひじを)治しに行くんだ。夏巡業までには戻る。当たり前だろ。(名古屋場所の中継は)見てないよ。(巡業開催不安?)モンゴルは安全だよ。

 報道陣を振り切って、出国ゲートをくぐった。サテライト内でも一般待合室にいた他の力士とは別に、ラウンジにこもって接触を避けた。

 だが、朝青龍の努力をあざ笑うかのように、機内はさらに針のむしろ。列こそ違えど、わずか27席のビジネスクラスに6力士とバドバヤル氏に加え、来日していたバヤル首相や他のモンゴル国会議員らの賓客が同乗していた。朝青龍はバドバヤル氏や白鵬より後ろの席をあてがわれ、約5時間の飛行中、ずっと2人の後頭部を眺めることに。朝青龍と白鵬の座席の間は推定1・5メートル。治療を前に精神的なダメージが残りそうな1日になってしまった。【来田岳彦】