<大相撲秋場所>◇9日目◇22日◇東京・両国国技館
横綱朝青龍(27=高砂)が10日目から休場することになった。関脇安馬(24)に無抵抗で敗れ、4敗目を喫した。師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「最悪でも休場」との考えを示し、23日午前中に本人と話し合って結論を出すとしたが、朝青龍の関係者は今場所の残りの休場と、九州場所での再起の方針を明かした。朝青龍の休場は6度目。引退は回避したものの、九州場所で今度こそ進退が問われることになる。
朝青龍には「休場」の選択肢しかなかった。朝青龍は打ち出し後に都内の病院に赴き、痛めている左ひじの検査を受けた。高砂親方は「本人から『もう少し考えさせてください』という電話があった。最悪でも休場だ。明日の午前中に結論を出す」と話した。関係者によると、朝青龍は周囲の説得などで引退は回避し、九州場所で再起を図ることにしたという。
この日の一番は、闘志をどこかに置き忘れたような内容だった。立ち合いで何の工夫もなく左を差しに行くと、安馬の右変化に全く対応できず、完全に背後を奪われた。過去14戦13勝の相手に、後ろから力なく土俵外に出される朝青龍の目はうつろ。右かかとがわずかに土俵外に出たと判定され、激怒した前日の気迫はもう、なかった。
前日は大荒れした支度部屋でも静かだった。「向こうは手をついてたか?
待っただと思った」と不満を口にしたが、言葉に力はない。行司や審判に抗議する気力すらなかった。時間前にまわしをたたく、いつもの動きをしなかったことに「(左ひじが)痛くてたたけねえんだ。気持ちはあるんだけど、しょうがねえんだ」とつぶやいた。
以前のような圧倒的な強さはない。それでも、最大の武器の強い気持ちで「衰え」をカバーしてきた。しかし、今場所は体も心も予想以上にもろい。前人未到の7連覇を達成した直後の06年初場所は、目標を失って11勝4敗と惨敗した。今回も夢だったモンゴル巡業を実現した直後だった。大きな目標を達成し、次の目標を見つけることができなかった。
朝青龍の大銀杏(おおいちょう)を担当する特等床山の床寿も「最近、変に紳士なんだ。付け人にも妙に優しすぎる。ちょんまげを付けている間は、もっと闘志を前面に出さなきゃ」と指摘した。九州場所に向けて、痛めている左ひじの完治以上に、ギラギラした闘志を取り戻すことが先決。いずれにしろ、次の場所こそ待ったなしで、進退が問われることになる。

