大麻問題で8月に日本相撲協会を解雇され、週刊現代(講談社)で現役力士の八百長を告発した元若ノ鵬(20=本名ガグロエフ・ソスラン)が、28日に都内で会見。あらためて告発の内容はうそだったと主張した。「ある親方の代理」と名乗る男に促されての告発で、男から250万円を受け取ったことも明かした。元若ノ鵬は、既に地位保全を求める抗告手続きで提出した陳述書の中で、うその告発をしたことを示し、男を「X」として正体を明かさなかった。

 羽織はかま姿の元若ノ鵬は、一連の八百長告発について謝罪した。八百長について「ない。はっきり言えます」と断言し、告発した4人の現役力士の名前を1人1人挙げて、「謝りたい」と涙した。

 陳述書によると、「相撲界を正したい」と考える親方3人に頼まれた男「X」から電話を受け、八百長告発を促されたという。この日は「(告発すれば)1、2週間で相撲界に戻れると言われ、信じてしまった」と説明。告発記事の内容は「X」がつくったもので、週刊現代の取材後には「X」から「現金で250万円もらった」とも明かした。だが、相撲界に復帰できる兆しが見えず、不信感が募ったという。

 席上、「だまされた」という言葉を繰り返した。「X」は現在連絡がつかず、名前については「家族の身の危険を感じるから」と口を閉ざした。陳述書には、「X」がロシアマフィアとのつながりを誇示していた旨が記載されている。

 27日に、既に「八百長記事はうそだった」とする陳述書を提出していることが判明した。それを受けて、週刊現代が「元若ノ鵬は27日の面談で『そんな陳述していない』と話した」とコメントを出したが、会見で元若ノ鵬は「言ってない」と否定。整合性のない不透明な部分は、まだ残っている。

 「相撲界に戻れると思うのか」との質問に、元若ノ鵬は「戻れるかは分からない。でも、相撲大好きです」と答えた。代理人の宮田真弁護士は「第三者(裁判所)の判定を受ける権利はあると思う。だが生活の問題もある」と力なく話した。収入もなく、現在の住居も週刊現代を通して借りている厳しい状態という。【今井恵太】