日本国籍取得を宣言した横綱白鵬(24=宮城野)が、20日に予定していたモンゴルへの帰国を回避した。19日、栃木市での春巡業で「帰るのはやめました。日本でゆっくりしようと思います」と明かした。

 理由については「まあ、いろいろとありまして」と言葉を濁した。だが、15日に日本外国特派員協会で「親方になって弟子を育てたい」と、引退までに日本国籍を取得して日本相撲協会に残る意向を示したことで、モンゴルでの反感を危惧(きぐ)していることは否定しなかった。「反感の声?

 ありますよ。(日本人女性と)結婚の時もいろいろと言われた。特に自分はモンゴルの大横綱の息子だから、モンゴルに残って当然と思われているし」。

 05年6月に日本国籍を取得したモンゴル出身の先輩、旭天鵬も自身の経験から白鵬を心配した。「オレの時はメチャクチャ言われた。マスコミからバッシングされて、親とかも街で『いいものつけてるね。それ、日本人になった息子から?』とかいやみを言われた。横綱は、お父さんのこともあるからね…」。

 だが、白鵬の決意は変わらない。「だからこそ、もっと相撲を一生懸命やってモンゴルの人に認めてもらおうと思う。時間をかけてね」。帰国すれば、現地メディアに「日本国籍取得問題」を詰問され、国民から批判も受けるかもしれない。周囲もこのタイミングでの帰国回避は妥当とみている。日本で家族や部屋の仲間たちと過ごすことを優先した白鵬は、20日から国内で休暇を過ごし、番付発表後の28日から再始動する。